20 ねこのタイりょうりやさん
そうたくんはいつも通りマタタビタウンにやってきました。街をるんたるんたと歩いていると、なにやらエスニックな匂いがしました。スパイスやハーブの匂いのようです。
匂いの出どころは「タイカレーシャム」です。ストレートな名前だなあと思いながら、そのド派手な装飾のお店をしみじみと見ました。そこにふくくんとぴのくんがやってきて、3人でお店の様子を観察していると、シャム猫のコックさんがシャッターを開けました。開店の時間のようです。3人はわくわくして、お店に入りました。
メニューを開きます。「グリーンカレー からさ☆☆☆」だとか、「トムヤムクン からさ☆☆☆☆」だとか、なにやらどれもからそうです。3人は「入るお店を間違えたかもしれない」と、うぬぬの顔になりました。
とりあえず全員、グリーンカレーを注文しました。辛くてもカレーなら食べられそうだと思ったからです。シャム猫のコックさんが「マイドー」とカタコトでそう言い、料理を始めました。
鼻をくすぐるのはハーブやスパイスの香ばしい匂いです。料理をしている様子をちらりと見ると、なにやらハーブを刻んでいました。ぐう、とお腹が鳴ります。
しばらくして、「オマチドー」と、やっぱりカタコトでそう言いながら、シャム猫のコックさんがグリーンカレーを運んできました。3人の知っているカレーとはぜんぜん違い、シャバシャバ気味です。
恐る恐る、ご飯をすくってカレーにひたして口に運びます。ハーブとスパイスの刺激的な味が口に広がりました。でもココナツミルクの優しい味もします。とてもおいしいです。
鶏肉と筍が具材として入っています。鶏肉はほどよい歯応えで、筍はコリコリとたのしい食感です。
グリーンカレーを食べながら、聡太くんは店内を見渡しました。寺院の写真がたくさん飾られています。タイというのは微笑みの国だそうですが、猫なので正直なところあんまりピンときません。
「おいしいね」
黙って食べていたふくくんがそう言って、肉球を見ました。汗でびっちょりです。聡太くんも自分のあずき色の肉球を見ます。やっぱり汗びっちょりです。ぴのくんも肉球は汗びっちょりのようです。
食べ終わるとスッキリ爽やかな気持ちになりました。健康になった感じがします。
3人はそれぞれ代金を支払い、「タイカレーシャム」を出ました。体がホカホカと温かいです。それからいつもの空き地で3人なかよく将棋崩しをしました。頭が冴えていい手が連発し、とても楽しかったのでした。
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