21 ねこのホームセンター
そうたくんはきょうもマタタビタウンにやってきました。いい天気です。るんたるんたと軽い足取りで、街を歩きながら何をしようか考えます。
みるとおおきなホームセンターが建っていました「ネコメリパワー」という看板が出ています。ちょうどやってきたぴのくんとふくくんを誘って、ホームセンターに入ってみることにしました。
入ってすぐのところには、こたつが展開されていました。そうたくんたちは春生まれなので、こたつがなんなのかはよくわかりませんが、どうやらとても楽しいものらしく、大人のねこたちは次々とこたつを買っていきます。よくわからないですがセットになっているクッションはとてもフカフカで、これに寝たらダメにされるな、とそうたくんは思いました。
洗顔料や化粧品、洗剤なんかも売られています。本当にここならなんでも揃いそうです。
家具のコーナーには寝心地のよさそうなベッドや、座り心地のよさそうないすがいっぱい売られています。座ってみたり転がってみたりすると、そのままそこで寝てしまいそうになりました。いけないいけない、と3人は立ち上がりました。
花のコーナーもあります。可愛い花がたくさん売られていますが、食べられないので正直なところ興味はありません。でも面白そうなので外売り場に出てみることにしました。外売り場では、植木やコンクリートブロック、花壇用の苗なんかも売られています。
「あっこれマタタビだ!」
ふくくんがめざとく見つけたマタタビの木に、3人で近寄って匂いを嗅ぎます。ホンワァーとなって、違う違う、と探検を再開します。
コンクリートブロックはがっちがちです。叩いてみたらちょっと痛かったので、そうたくんはもう叩くまいと決めました。
中に戻ると農薬のコーナーがあります。雑草をいっぺんに枯らす薬があるようですが、なんとなく怖いです。草刈り機はみるからにおっかないので、3人は小走りでそこを抜けました。
ペットのコーナーにいくと、きれいな熱帯魚がいっぱい売られていました。3人とも、水槽のなかのディスカスをぼーっと眺めました。
「きれいだねえ」
ぴのくんがしみじみとそう言います。
「でもおいしそうだね」
ふくくんが食い意地の張ったことを言います。そうたくんも同じことを考えていました。
「そういえばホームセンターの外に、今川焼き屋さんがあったよ」
そうたくんがそう言うと、一同いそいでホームセンターのウインドウショッピングをやめて、今川焼き屋さんに並びました。シャケあんとサバあんがあって、みんな両方一個ずつ買って食べました。
お腹いっぱいになりました。みんなでいつもの空き地にいき、将棋崩しをして遊んで、それから人間のおうちに帰りました。今川焼きの味を思い出して、そうたくんは寝ながらむにゃむにゃしました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます