22 ねこのドーナツやさん
そうたくんはきょうもマタタビタウンにやってきました。いい天気なので足取りもるんたるんたしています。きょうはなにをして遊ぼうかな、と街を見渡すと、ドーナツ屋さんが目に入りました。
そうたくんはドーナツが好きです。といっても人間がこぼしたカケラをちょっとだけ食べたくらいしか知りませんが、油と小麦粉のいい匂いがしたのは覚えています。ぴのくんとふくくんと合流して、ドーナツ屋さんに入りました。
店の中はドーナツを揚げる油のいい匂いがします。列に並んで、それぞれ2個ずつドーナツを買うことにしました。クリームたっぷりのドーナツや、砂糖をまぶしたドーナツ、チュロスもあります。そうたくんはさんざん悩んで、砂糖をまぶしたドーナツと、不思議な形のドーナツを買いました。
ぴのくんは砂糖をまぶしたやつとチュロス、ふくくんはクリームたっぷりのドーナツとあんこの入ったドーナツです。すぐお皿に乗せて、店員の三毛猫のお姉さんがテーブルに並べてくれました。
「わあおいしそう」
ぴのくんはニコニコしています。
「いただきまーす」
ふくくんがさっそく食べ始めました。あんこがたっぷり入ったあんドーナツはとてもおいしそうです。そうたくんも砂糖をまぶしたドーナツにがぶりとかじりつきました。
甘いです。そして揚げてすぐなのでほかほかです。じゅわぁと油がしみて、とてもとてもおいしいです。
ぴのくんもチュロスをもぐもぐしています。これもおいしそうだな、とそうたくんは思いました。
砂糖をまぶしたドーナツをやっつけて、不思議な形のやつに手をつけます。モチモチします。独特な歯応えで、かけてある甘いコーティングがシャリシャリします。とてもおいしいです。
「ドーナツっておいしいね」
ぴのくんがほっぺたを押さえながらそう言います。
「人間はたべさせてくれないからね」ふくくんは今度はクリームの詰まったドーナツを食べ始めました。
「こんなにおいしいのに、なんで人間は分けてくれないんだろうね?」
そうたくんは首をかしげました。確かにその通り、と2人も言いました。
ドーナツをもぐもぐして、それから3人は腹ごなしに散歩することにしました。油と小麦粉なのでずっしりとお腹にたまります。
「人間の食べ物って、猫には体によくないんだって」
物知りのふくくんがそう言います。
「そうなのかなあ。猫によくないものなら人間にもよくないとおもうなあ」
そうたくんはそう返事をしました。ぴのくんが、「人間ってなんでも食べられるようにできてるらしいよ」と言います。
お散歩をして、いつもの空き地で将棋崩しをして遊びました。とても楽しかったので、そうたくんは帰りたくないなあと思いましたが、でも帰らないと人間に心配されるので、3人はそれぞれ人間のおうちに帰りました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます