3 ねこのこうみんかん

 そうたくんはまた、人間がいないすきに物置からマタタビタウンに向かいました。

 デパートの屋上をキッと睨みつけてから、なにをしようか考えます。このあいだの白黒の子猫と、もういちど勝負したいと思いましたが、どこにいるかはわかりません。


 そう思いながら、街を歩いていると、公民館が目に入りました。きょうはたくさんのサークルが活動しているようです。

 華道、健康麻雀、五目並べ、茶道、そして将棋崩し。

 ちょっとずついろいろ見てみよう。

 そうたくんはドアのガラス窓から、どんなことをしているのか観察しました。


 華道は猫草をかじりながら器に飾っています。

 健康麻雀は麻雀牌をジャラジャラ言わせて、トイレの砂の要領でずっとかき混ぜています。

 五目並べは人間がやるのとほとんど同じですが、ときどき相手の置いた石にパンチして反則負けしているようです。

 茶道はわびさびを感じる器にちゅーるを入れて、みんなでぺちゃぺちゃ食べています。

 どれも楽しそうでしたが、そうたくんは将棋崩しをすることにしました。あの白黒の子猫がいたからです。


「こんにちは、初めまして」


 そう言って入ると、親切そうな太ったキジトラのオス猫が、


「初めまして。きみ、この間デパートの屋上の将棋崩し大会に出てた子かな?」

と、ニコニコして訊いてきました。


「はい。そうたといいます」


「そうたくんか。大会の様子を見るとぴのくんとあんまり棋力は変わらない感じだったから、ぴのくんと勝負すればいい。ちょうどぴのくんの勝負が終わったところだ」


 どうやらあの白黒の子猫は「ぴの」というようです。ぴのくんはニコニコして、そうたくんを誘ってくれました。


 ぴのくんはちょっと女の子っぽい顔の子猫です。そうたくんと歳はあまり変わりません。そうたくんはぴのくんと将棋崩しをして遊びました。

 きょうは2番勝負してどちらもそうたくんが勝ちました。集中して疲れたので、ふたりはマタタビデパートの砂肝ソフトクリームを食べにいきました。


「ともだちになろうよ」

 そうたくんはそう提案しました。


「もちろんいいよ」

 と、ぴのくんは答えました。


 砂肝ソフトクリームを食べて、二人は夕焼けを見ながら、またね、と別れました。

 そうたくんは人間のおうちに帰ってきました。人間が出してくれたキャットフードを食べて、ぴのくんを思い出しながらぐっすり寝ました。

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