9 ねこのゲームセンター
マタタビタウンはきょうもいい天気です。そうたくんはなにか面白いものはないか、街を見渡しました。
ゲーセン、つまりゲームセンターが目に入りました。なにやらレトロなたたずまいです。ちょうどやってきたぴのくんとふくくんも誘って、その「ゲームセンターキジシロ」に入りました。
ゲーセンの中は、いろいろなゲーム機が大きな音を立てていて、思わず耳をふさぎたくなりましたが、少しすると気にならなくなりました。
なにで遊ぼうか、ゲーム機を眺めます。格闘ゲームやシューティングゲーム、それからいわゆる音ゲーは大きなお兄さん猫が遊んでいて近づけません。プリクラは男の子だけで撮るのは禁止のようです。
3人はしょうがないので、クレーンゲームで遊ぶことにしました。なんと、「シン・ニャジラ」の第二形態のぬいぐるみがあります。さっそくそうたくんがコインをちゃりんと入れます。
ぐいーん、とアームが横に動きます。よく狙ってボタンを押します。するとアームが縦に動きます。またよく狙ってボタンを押します。
あっ、ニャジラのぬいぐるみにまっすぐ降りて、これはうまく取れそうです。
しかしニャジラのぬいぐるみはちょっと重かったようで、アームから転がり落ちました。
「ちぇ、もうちょっとで取れそうだったのに」
「こっちは? うみゃい棒が景品だよ」
ぴのくんがもう一台のクレーンゲーム機のほうにいきました。駄菓子の「うみゃい棒」がたくさん入った袋が景品のようです。うみゃい棒自体はマタタビタウンならどこでも買える駄菓子ですが、景品はいろいろな味が何本もセットになっています。
もしとれたら3人で分けよう、ということになり、そうたくんがコインを入れ、ぴのくんが縦、ふくくんが横を操作することになりました。
どれをとるか相談してコインを入れます。クレーンが動き始めます。ぴのくんが肉球でボタンを押し、ふくくんも猫パンチして、クレーンは見事にうみゃい棒セットを持ち上げました。
それがするする動いて、出口に落下しました。どさっ、と袋が取り出し口に落ちてきました。
「わあいやったあ。向こうでおやつにしよう」
ふくくんがテーブルのあるところを指差しました。ジュースの自動販売機があります。
3人はそれぞれ好きなジュースを買って、うみゃい棒の山分けを始めました。ちょうど3で割り切れる本数入っていました。
うみゃい棒の「盗み食いしたお刺身味」や、「落ちてたのを食べたパン味」、「ちょびっとなめたヨーグルト味」なんかを食べながら、3人はいろいろ話をしました。
「ゲームセンターは楽しいけど、ぼくは将棋崩しが好きだなあ」
と、そうたくんが言うと、ふくくんもうなずきました。
「そうだね、だいたいのゲームはお兄さんたちがやってるからできないし」
ぴのくんがうみゃい棒をかじりつつ、
「それにちょっと音が大きいよ」と笑いました。
3人は、次に来たらどこかで将棋崩しをする約束をしました。それぞれ自分のぶんのうみゃい棒をお腹のホヨホヨにしまい、おうちに帰りました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます