25 ねこのまちちゅうかやさん
きょうもマタタビタウンは寒い風が吹いています。雪こそ降っていませんが、青い空に温度を吸われてしまったようです。
そうたくんはなにをして遊ぼうかなあ、と街を見渡します。ぴのくんとふくくんが目に入ったので、2人に声をかけました。
「なにして遊ぶ?」
「どこかあったかいところに行こうよ。これじゃ風邪ひいちゃう。風邪ひいたら大変だーってうちの人間が言ってた。ジュウイでチューシャされるんだって」
ふくくんが長台詞を言います。ぴのくんが、
「あっちに中華料理屋さんがあるよ。ぼく、なにか食べたいな」
と言い出して、一同は街中華の「まおまお軒」に吸い込まれていきました。
街中華のまおまお軒は、たくさんの猫で混雑していました。
白髪ネギを乗せたラーメンをすすっている猫がいます。人間のいる世界では食べられないネギも食べて大丈夫なようです。
メニューを開きます。「鶏の唐揚げ」だとか、「ニラレバ炒め」だとか、「春巻き」だとか、いちど食べてみたかった料理のオンパレードです。
そうたくんたちは、3人で分けられるものを注文しました。鶏の唐揚げと春巻きとエビチリ、と言うと、三毛猫のおばちゃんが伝票にさらさらと注文を書き、厨房で料理するシャムトラの大将に伝えました。
3人は、ワクワクしながら出てくるのを待ちました。大将はとても手際よく、エビを炒め、春巻きを揚げ、下味を染み込ませた鶏肉を揚げます。すごく大きな、人間のゲンコツくらいありそうな鶏肉です。
そして少しして、頼んだものが運ばれてきました。すごくいい匂いがします。人間の家では食べられない、ニンニクこってりの唐揚げと、チリソースたっぷりのエビチリ、いい塩梅に揚がって熱々の春巻き。完璧です!
「いただきまーす」
3人はそれぞれ好きな料理に箸を伸ばしました。そうたくんはエビチリを口に入れて、ケチャップの甘みとチリソースの痺れる辛さに「おいし〜い」と感激しました。
ふくくんは真っ先に唐揚げに箸をつけました。口に入れて、「あちち」とつぶやき、よくふうふうしてからまた口に入れます。
ぴのくんも春巻きをうまうまと食べています。おいしそうです。
「これ、タケノコがいっぱい入ってておいしいよ」と、ぴのくんが春巻きを勧めるので、そうたくんも食べてみました。中のあんはとろりとしていて、ほどよい塩味で、タケノコのシャキシャキした歯触りがとてもおいしいです。
唐揚げも食べてみます。とても大きくておいしいです。人間の手をかじって遊んだときを思い出しました。
3人はとてもとても、お腹いっぱいになりました。どこかでお昼寝したいね、と言いながら、街が薄暗いのを見て人間のおうちに帰ることにしました。
人間のおうちも暗くはなっていましたが、まだ人間のいる時間ではないようです。そうたくんは自分のふとんでぐうぐう寝ました。起きたらお腹が空いていて、人間がキャットフードをくれました。
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