13 ねこのまちのおまつり

 遊園地で遊んだ次の日、そうたくんはいつも通りマタタビタウンに向かいました。

 きょうもなにやらにぎやかです。なんだろう、と背伸びをしてみると、むこうから曳山がやってきました。お祭りのようです。


 どうやら「十二支入れなかったぞ神社」の、年に一度のお祭りをやっているようだ、と、ちょうちんや旗をみてそうたくんは考えました。

 曳山には人間を模した人形が載せられています。どうやらちゅーるを食べさせてくれる人間のようです。そうたくんはちゅーるを食べたことがありません。しょっぱいからだめ、と、人間が食べさせてくれないのです。いいなあ、と人間の像を見上げます。


「わっしょいわっしょい」


 掛け声とともに曳山が進みます。曳山には三毛トラの姉妹が乗って踊ったり笛を吹いたりしています。曳山を引いている猫たちはみなはっぴを着ていて、いかにもお祭りという感じです。

 大人の猫は曳山の人形や踊りを見ていますが、聡太くんはずらりと並んだ出店に目がいきます。すると、ぴのくんとふくくんを見つけました。そうたくんはそちらに向かいました。


 ぴのくんはササミの串焼きを食べていました。ふくくんはカツオだしのかき氷をしゃくしゃく食べています。そうたくんも出店でおやつを買うことにしました。ちょうどマグロのクレープを見つけたので、さっそく買って食べます。焼きたてのクレープはふかふかです。

「なにして遊ぶ?」

「射的はこりたから、くじ引きをしようよ」

「あっ、あのくじ引き、一等はニャンテンドースイッチだ!」

 ぴのくんが目ざとく見つけたくじ引きの屋台には、そうたくんと同じくらいの子猫が群がっていました。みんなニャンテンドースイッチが欲しいのです。さっそくそうたくんたちもくじ引きに挑戦することにしました。


 くじ引きはひもを引っ張って、そのひもに繋いである賞品がもらえるようです。そうたくんが引っ張ると、茶トラの屋台のおじさんは剣のおもちゃを渡してきました。ハズレです。

 ぴのくんが引っ張ると、今度はぴかぴか光るロボットのおもちゃでした。そうたくんよりマシでしょうか。

 ふくくんがひもをぐいっと引っ張ると、ピストルのおもちゃでした。やっぱりハズレです。

 3人が渋い顔をしていると、ペルシャ猫のお兄さんがやってきて、

「3万ニャン払うからぜんぶ引っ張らせてよ」

 と、おじさんをからかいました。おじさんは、「それはごめんしてくれ〜」と笑いました。どうやらひもはニャンテンドースイッチには繋がっていないようです。3人はしらけた気持ちになりました。


「ピストルとか剣とかもらってもねえ……」

 3人はため息をつきました。

「でも暗くなる前に帰らなきゃ。人間が心配するよ」そうたくんはそう言いました。

「そうだね、人間が帰ってくる前に帰らないと」ふくくんが頷きます。

「いつか夜のお祭りも観たいね」

 ぴのくんがそう言い、3人は解散しました。おうちに帰ると、人間がちょうど帰ってくるところでした。

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