こねこのそうたくん

金澤流都

1 ねこのまちのデパート

 そうたくんはサバトラの子猫です。

 ある日、そうたくんは人間が出掛けているすきに、ずっと入ってみたかった物置の奥にあるタンスにもぐり込みました。

 タンスのなかは真っ暗です。しかし向こうになにか明かりがあります。そうたくんは明かりのほうに、ずんずん進みました。

 明かりのもとに到着すると、そこは街でした。そうたくんは二本足で、まるで人間みたいに立っていることに気付きました。


「ここはどこだろう。む、デパートがあるぞ」

 

 そうたくんはちょっとおやつを食べたい気分でした。デパートならソフトクリームがあるかな。そう思って、その「マタタビデパート」に入ります。お財布はお腹のホヨホヨのところに入っていました。


 マタタビデパートの食堂は七階にあるようです。

 店員さんもお客さんもみんな、そうたくんみたいな二足歩行の猫です。7階でエレベーターを降りて食堂に入ると、「将棋崩し大会」のポスターがありました。来週行われて、プロ将棋崩し棋士もやってくるそうです。

 プロ将棋崩し棋士。なんだか素敵な響きです。そうたくんは注文して出てきた砂肝ソフトクリームをなめながら、将棋崩し大会に出ようと決めました。


 お腹がいっぱいになって、屋上の遊具で少し遊んだら、そうたくんはすっかり眠くなってしまいました。

 ベンチでウトウトして目を覚ますと、おうちにいました。人間がちょうど帰ってきました。そうたくんは人間に、ご飯を要求しました。人間は喜んでキャットフードをくれました。

 またあの街に遊びに行きたいなあ。そう思いながら、四本足に戻ったそうたくんはぐっすり眠りました。

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