第2話 攻略対象 ツンデレ(胡桃 美月姫)
俺のクラスにいきなり入って来て、こいつ等はとんでも無い事をクラスメイト達の前で口述する。
そもそも何故今になって? 付き合ってると自称したいなら一年の時でも言えた筈だろ?
何を考えてるんだ、こいつ等は!!
このまま黙っていても埒が明かない。
俺の前の席の華月さんも見てるし……。
彼女に嫌われたくない!!
「あははっ! また俺をからかってるんだな? 兎に角四人共、一回外に出ようか?」
「まぁ、あんたが外に行きたいって言うな別に行ってあげても良いけど」
「私以外の子も一緒とか嫌だけど、みっ君の頼みだから行くよ! でも三人はみっ君にひっつかないでね? 間違えて刺しちゃうかも知れないから♪」
「みぃ君、私もその四人の中に入ってる? 私だけ除け者にしてないよね……? じゃないと私屋上から飛び降りるかもよ?」
「くーちゃんと一緒に居れるなら私は何でも良いよ! そしてー、そのまま押し倒しちゃって!」
駄目だ……。
こいつ等全員頭がヤバイ。
自称するにも程があるだろ!!
クラスメイト達の注目をこれ以上集めたくない。
華月さんのあの目は、この状況を見て引いてるんだ!
まだ告白だってしてもいないのに彼女から嫌われてはお終いだ。中学の時だってそうだ。
俺が好きだった子に近付いて脅したりして、俺とは話してくれなくなって。
今まで彼女が作れないのはこの幼馴染達の所為だ!
そう言えば妹が教えてくれた。
彼女達は、ツンデレ、ヤンデレ、メンヘラ、デレデレの四タイプあって一番攻略が難しいのがヤンデレとメンヘラタイプだとか。
俺はそう言うゲームをプレイした事はないけど、妹が持ってるヤンデレメンヘラシミュレーションってのがあって少しだけ見させて貰った事がある。
何故ヤンデレとメンヘラを一緒にしたかは分からんけど、別にそう言うのは興味なかったしプレイしたいとも思わなかった。
でもこれで一つ分かった。
こいつ等は全員ゲームの攻略対象キャラそのものだ!
深く考えなければこの幼馴染達もあのゲームのように攻略出来るかも知れないって事だ。
妹は一番難しいヤンデレとメンヘラを既にクリアしていて、後にツンデレとデレデレもクリアしている。
ゲームをあまりプレイした事がない俺にはハードルが高いけど、先ずはノーマルでいこう。
実はツンデレよりもデレデレの方が攻略が難しいらしく、初めてプレイするならツンデレが良いらしい。
普通なら好感度を上げるのが普通だと思う。しかし!!
俺はその逆手を取り、俺への好感度を下げるのがゲームクリアの条件だ!
やってやろうじゃん。
攻略開始だ!!
「何なの? さっきは四人共、外に出ようとか言っておいてやっぱり一人ずつ話がしたいとか」
彼女の名前は
銀髪の長い髪に俺を見る鋭い目の瞳は綺麗な碧眼をしている。
見た目だけなら誰でも惚れそうなぐらい顔が整っていて、所謂美少女!!
しかし、彼女は普通のツンデレではない。
自称彼女、ツンデレ自称彼女だ!
文字をくっつけただけだが。
ツンデレとは、いつもポーカーフェイスを維持してるから、感情を読み取るのが難しいと聞く。
だがたまに見せるデレもありツンデレ。
そして、こう言うタイプの人はプライドが高いらしくなかなか弱味を見せてくれないらしい。
妹から聞いた情報ではこれぐらいだ。
先ずはどこから攻略するか……。
「いや、今度デートでもどうかなと思って。俺彼氏なんだろ?」
どうだ?好感度は!
「ま、まぁ…デートぐらいならいくらでもしてあげるわよ」
俺だけに見える美月姫の好感度ゲージが右端に現れた。
好感度はMAX。あれを0にすれば攻略終了。
よし、次だ!
「じゃあ、今週の日曜日とかどうだ?」
「その日なら別に予定もないし、良いけど」
「本当か! ありがとう」
俺の作戦はこうだ。
デートの約束当日、もしもドタキャンされたら? だ!
これは彼氏彼女が絶対にしてはいけない行動パターンの一つ。
これをされた本人は腹が立って相手に電話しても繋がらない。
そして俺の事を嫌いになる筈だ!
良い作戦だろ!
だが、他の三人の邪魔が入らないように気を付けなければならない。
あいつ等はいつどこで俺の事を見張ってるか分からないから。
少しでも油断をしてしまえばあいつ等は俺に気付き近付い来るだろう。
そうなれば、美月姫の攻略が厳しくなる。
「じゃあ、HR始まるからもう行くから」
「あぁ、分かった。時間取らせて悪かった」
美月姫は俺に背を向け歩き出した。
取り敢えず今はこんな所だろう。
今日は帰ったら日曜日に備え、妹と作戦会議だ!
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