お知らせ&第28話 メイドとメンヘラ女子

      【前書き】


 完全にミスっていた……。

 読み返していたら、これだと会話が繋がらない……。

 一度頭の中を整理し、話が繋がるよう改善致しましたm(_ _)m

 25話のモブキャラのセリフと、27話の主人公のセリフが繋がるよう書き直しました!


       25話

      ↓↓↓

 モブ「なぁなぁ、久遠! お前って本当は良い奴じゃん」


「……は?」


「俺達はお前を応援する。頑張れよ!」


       改善

       ↓↓↓

       27話

 主人公「いや、もうそっちの方が断然良い! 何なんだよ! 昔、彼女達をナンパから助けた事があった? そしたらお礼に俺の彼女役……つまり、彼女として接する事になった……だと?」


 僕が書いている時にやってしまうミスです。プロットを読み返していたら気付きました。

 これで25話と27話の会話が繋がったかと思うのですが……。

 引き続き、自称彼女(ジショカノ)をどうぞよろしくお願い致しますm(_ _)m

――――――――――――――――――――


「みぃ君、一緒に帰ろ」

「あー……そうだな……」


 帰りのHRが終わると、丁度雨衣が廊下で待っていた。お昼休みに約束をしていた事を忘れかけていた俺は、さっさと帰りの支度をし教室を出ようと足を踏み出すと廊下で遭遇。

 そして俺のクラスからは、ヒソヒソ話が聞こえて来た。


 (桜花さん、今日も可愛い!)

 (あいつ、四人も美人な幼馴染が居るんだし、一人ぐらい分けてほしいよな)

 (それ俺も思った)

 (でもさ、結局は四股じゃね? 付き合ってなかったにしても、彼女達はあいつの彼女役なんだろ?)

 (確かに! でも高校生で居れるのってあっと言う間だし、最後くらい夢を見させとけばいいさ)

 (もう頑張れ、としか言えないよな)

 (だけどモテそうには見えないぞ? だってあいつ顔普通じゃん)


 ヒソヒソ話にしてはハッキリ聞こえてますけどね!? 後勝手に決め付けないで欲しい。昔は俺だって色々な女子から告白されたり、遊びに誘われたり、モテモテだった時期もあった。

 中学の時一人だけ仲の良い女の子が居て、その子と一緒に帰った事あるんだぞ!

 四人から邪魔さえされなければ、今頃は恋人になれて同じ高校を受験していたかも知れない。

 そんな幸せな未来を……あいつ等からぶち壊され、俺は今でも彼女が出来ないままだ。

 中学の時に好きだった女子……。今頃は彼氏が出来てデートやキス、お互い触れ合ったりしているのだろうか。今ではどうでも良い話で、2年以上も前の事だ。

 そんな過去にいつまでも囚われていては、前に進む事なんて……彼女達の攻略なんて出来る訳がない。

 それに俺は颯夜に詩……霧崎とも知り合えた。今までずっと幼馴染だけとしか、話さなかった俺が……。

 素直に喜ぶべきだ。中学の子の事はキッパリ振り切れてるし、今は他に気になる子が居る。

 まだ彼女に告白は出来ていないが、友達にはなれたし結果オーライだ。


「早く行こ。他の三人が来てしまう」

「え? あ、あぁ……そうだったな」


 雨衣から制服の袖を軽く引っ張られ、現実に引き戻された俺は、彼女の方に顔を向けた。

 メンヘラ女子を攻略するには先ず、一人にさせない所から始めなければならない。

 そうする事で彼女の不安はなくなり、好感度も確実に上がって――


 って違うだろ!! 何彼女の好感度を上げようとしてるんだよ、俺は!!!


 自分で自分にツッコミ、本来の目的を思い出す。俺が今やらなければいけない事が何か……。

 それは――



 だ!


 好感度を上げるのではなく、逆に嫌われるような行動をし、確実に好感度を下げていかなければならない。今までの攻略で失敗している分、雨衣のレベルが上がる前に好感度を下げておきたい。

 だけど、彩葉も美月姫も気付いた時には勝手にレベルが上がっていたし、今回も何かしらの理由で好感度レベルが上がってしまうかも知れない。

 今の所はレベルが上がったからと、特に変わった様子はなく、普段と変わらない接し方をして来ている。

 キス? 放置? もしこの二つが理由ならあの二人のレベルアップも納得がいく。

 美月姫からキスをされレベルアップ。彩葉が早退した次の日にレベルアップ。

 この二人のレベルアップに共通点はないが、それぞれレベルアップする理由が異なるのか?

 だとしたら……雨衣の場合はどうなんだ? メンヘラ女子を喜ばせる行動があって、それにヒットしてしまえばレベルが上がってしまうって事だろうか。

 ますます分からなくなって来たぞ……。


「お、二人で廊下デートか。お熱いねぇ」

「おい、人をからかうのもいい加減にしろ。四馬颯夜!」


 雨衣と一緒に廊下で立っていると、先に教室を出ていたはずの颯夜が、俺達二人を見てニヤニヤしながら近付いて来た。


「おいおい、俺の事は颯爽の颯夜とでも呼んでくれ。名前の漢字にも入ってるだろ? 「颯」という文字が!」

「知るか! それよりもお前部活があるだろ! 何でまだ教室に居るんだよ」

「いやぁ……。実はさ生徒会長さんから、部活の前に大事な話があるって言われてさ……」

「大事な話……」


 俺は口角を上げニヤリと笑うと、少しだけこいつをからかってみる事にする。

 今まで散々俺をバカにしてきた報いだ。


「四馬颯夜君、とうとうやってしまったね」

「……は?」


 颯夜は俺のいつもと違う弁口に、少し驚きを見せるも直ぐに表情を変え、意味が分からないとでも言いたそうな顔で此方を見ている。


「副会長降ろされちゃうんじゃないか?」

「何言ってるんだよ、お前……」

「時々、生徒会の仕事をサボってたらしいじゃん」

「! な、何故それを……」

「ふっふっふー。俺を甘く見くびってもらちゃあ困るなぁ!」


 言葉と同じタイミングで人差し指を、左、右、左へとゆっくり動かす。そしてニヒル笑顔で颯夜を見ると、こいつの顔は段々と青褪めていた。

 少しやりすぎたか?


「まぁ、副会長を今更降ろしたりなんかしないだろ! 入学式の挨拶だって、会長に代わってお前がやっていたしな!」


 俺が励ましの言葉を投げ掛けると、颯夜は「だよな……」と、自信なげに言った。

 どうやら俺は颯夜に、不安な気持ちを煽ってしまったらしい。反省だ。


         ◇


 何はともあれ、学校からの帰り道の事だ。雨衣が行きたい場所があるから付き合ってほしいと言われ、促されるがまま来たのは良いが……。


「お嬢様、お待ちしておりました」

「いつものをお願いしても良い?」

「はい、かしこまりました」


 何なんだ、ここ……。え?


 雨衣から連れて来られたのは、可愛い女の子達が沢山いる男の楽園。そう……メイド喫茶だ!


 周囲には一つのテーブルで、男性客とメイドさんが何かのおまじないを食べ物に掛けていた。


 もえもえ? きゅんきゅん?


 俺からすればメイド喫茶というものは初めてで、聞き慣れない言葉に少しだけ耳がこそばゆい。

 雨衣はどういうつもりで俺をこんな場所に連れてきたのだろうか。もしかして雨衣も、メイドに憧れていたとか?

 昔から雨衣の事を見てきたが、いつからか彼女達から遠ざけるようになってからか、今何が好きとか、やりたい事は何なのかとか、分からないことが沢山ある。

 だからって別に彼女達の事を知りたい訳ではないが、攻略するには必要な事なのかも知れない。


「どうしたの? そんなとこでぼーっとして」

「あ、いや……。何か凄いとこだなぁと思って」


 なかなかこの場の雰囲気に慣れずにいると、雨衣が俺の手を引いて席へと座らせた。丁度その時、奥の部屋から先程のメイドさんが、俺達の席へと近付いて来ると二つのティーカップを、テーブルの上に置く。


「では、ごゆっくり」


 メイドさんは礼儀良く頭を下げると、奥の部屋へと消え、俺と雨衣は二人になった。

 周囲に男性客は居るが、この席は特別席なのか、他の席と比べてけんらんごうな作りとなっている。

 このテーブルだけで一体いくらかけたのだろうか。そんな事を考えていると、紅茶を飲んでいた雨衣がじっと俺の事を見ていた。


「な、何か……?」

「別に……」


 いつもと雰囲気の違う雨衣に違和感を覚えつつも、俺も紅茶を少しだけ口に含む。


「ねぇ、一つ聞いて良い?」

「あ、あぁ……。何だよ急に畏まって」


 普段の彼女からは想像もつかない顔つきになり、ティーカップをテーブルの上に置くと、真剣な面持ちで俺の顔を見つめる。


「もしね、この世界がゲームだとして抜け出すにはクリアをしないといけないというルールがあったら……みぃ君はクリアしたいと思う?」

「は? 言ってる意味が良く分からないんだが」

「……ごめんね、変な事を聞いて。あ、そろそろ私の家に行こ」


 それだけ言うと彼女は席を立ち、奥に立っているメイドさんにお辞儀をした。俺も彼女に釣られ一緒にお辞儀をすると、雨衣から離れないように隣を歩き、家路へと急ぐのだった。



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