第16話 イケメン女子はモテる
バスから降りて学校の校門をくぐったとこでばったりと出会してしまった。
霧崎由真!!
「げっ」
「げって何ですか? か弱い一年ですよ?」
「どこがだよ! 絶対か弱くないだろ!」
沢山の生徒が登校中、俺とこの一年は校門前で目が合った瞬間バチバチと目から火花を散らしながら、口論する。
周囲の生徒達から見られてる事さえ気付かず。
「大体何で女子のくせに学ラン着てんだよ!先生も良く許可したよな!」
「別に僕が何を着ようと先輩には関係ないと思いますが?」
「そうかも知れんが、性別詐欺じゃねーか!」
「「あ、霧崎君、おはよう!」」
「ん、おはよう(最高のスマイル)」
「「きゃぁぁぁ、今日もイケカワ!」」
二人の女子生徒が次々と倒れていく。
気が付くと霧崎の周りには女子、女子、女子!!
こいつ女のくせに女からモテるのかよ!
いや、今、霧崎君って呼ばれていたから男として入学して来たとかじゃないよな?
「んじゃ、お先に行きますね? 湊先輩」
嫌味たらしく俺の名前を呼び、学校の中へと入っていく霧崎の後を、女子生徒達が追い掛けて行った。
あの女子達は霧崎のファンなのだろう。
確かに顔も男前だし、女子生徒のファンが居てもおかしくはない。
だけど俺が女子なら絶対にあいつだけは好きにならんからな!
「あの男子凄いモテモテだね……」
「私はくーちゃんにしか興味がないから安心してね!」
「みっ君以外に良い男なんて居ないし」
「まぁ、顔は悪くなかった。みぃ君が一番だけど」
この四人の幼馴染達にもあいつが男として認識しているようだ。俺だけかとも思ったが今だけはこいつらの存在は凄く有り難い。
これで俺への好感度も下がってくれたら……なんて甘い考えは良そう。
「玲夢はあいつと話したりは?」
「ないよ? 私同じクラスだけどいつも教室でスマホ弄ってて、なかなか話すタイミングがないんだよね。それに霧崎さんの周りにはいつも女子が集まってきゃあきゃあ言ってる」
な、なるほど……。
イケメン女子って奴ですか。声もそれなりに低いし、どこに行っても男で通じそうだ。
霧崎が見えなくなり俺達も学校の中へ入った。上履きに履き替え教室に向かおうとすると、美月姫から制服の袖を引っ張られ転びそうになる。
「なっ! いきなり引っ張ったら危ないだろ!」
「あ……ごめん」
何がしたかったのか分からず、俺は玲夢と幼馴染達と別れ自分の教室へと向かった、筈なのだが……。
(やっぱり入りづらい!!!)
浮気男としての肩書きがあるのと、クラスメイト達の視線が痛い。
だからって每日保健室登校するのも、欠席扱いにされ、出席日数に響くかも知れない。
どうしようかと教室の前をうろうろしていると……。
「湊、ちょっと付き合って欲しいんだけど」
「み、美月姫!? お、俺のクラスに何か用?」
突如、美月姫が俺の後ろに現れ、ビクッと肩を震わせた。
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