第18話 ストーカーの正体
「最悪だ……。俺の人生終わった」
「
「あぁ、我が妹よ……聞いてくれ……」
昼休み、いきなり美月姫からキスをされた俺は他の幼馴染達から迫られる事になってしまった。
あの手この手と俺を誘導し、キスを求めて来る幼馴染達。
それを放課後まで何とか避ける事は出来たのだが、キスをされた場所が悪かった。
食堂には沢山の生徒達が居て、俺と美月姫がキスしてる所を確実に見られていた。
詩に見られなくて済んだのは良かったが、俺の噂が詩の耳に入るのも時間の問題だろう。
そして放課後、俺は必死で逃げ回り、玲夢とファーストフード店に合流。
一番足の早い紫乃でも今回は俺を捕まえるのは無理だったようだ。
玲夢はストローに口を付け、オレンジジュースを飲みながら俺の話に耳を貸してくれた。
「食堂でキスされた」
「ぶふっ」
「おいっ、吐き出すな!」
「だって真剣な顔で兄ぃが「キスされた」って言うんだもん! 笑わずにはいられないよ!」
玲夢は俺の真似をしたかと思うと、飲んでいたオレンジジュースを吐き出し、腹を抱えて笑い出した。
目からは涙が溢れていて、それを指で拭う。
「んで、キスされたご感想は?」
「女子の唇って柔らかいなと……」
「華月先輩にメールを送——」
「って何勝手に送ろうとしてんだよ! あ、ちょっと待て! それ俺のスマホ!」
「冗談だよ?」
「冗談だよ? って可愛く言っても許されない事もあるんだぞ!」
玲夢の冗談のせいで俺の寿命が少し縮んだ気がした。俺、長生き出来ねーわ。
「あはは。だって兄ぃをからかうの楽しいから!」
「俺は楽しくない」
「そんな拗ねないでよ」
「はぁ、取り敢えず俺も何か買ってくるよ。あいつらのせいで、走り回ったから腹が減った」
「じゃあアップルパイ注文してきて!」
「は? まだ食べるのかよ」
「別に良いでしょ? 私のお金なんだし」
「違うぞ、玲夢」
「何が違うの?」
「父さんのお金だ! 何故なら父さんが汗水流して働いたお金だからな」
「くだらない」
そんな他愛もない話をしていると、さっきまで行列だったレジに誰も人が並んでいなかった。
注文するなら今のうちだろう。
レジへ向かい店員から「ご注文は何になさいますか?」と言われ俺は玲夢から頼まれていたアップルパイとボリューム満点のハンバーガーを注文。
席へ戻るとベージュカラーのミディアムヘアーをゆらゆらと揺らしながら、椅子に座って待っていた。
「アップルパイ!」
「ほら、これで良いんだろ?」
「うん! ありがとう、兄ぃ!」
玲夢は俺からアップルパイを受け取ると、目を眩しいぐらいに輝かせながら、ぱくりと口にした。
「おいひい……」
「幸せそうで何より……っ!」
急に何者かの気配が……っ!
「兄ぃ?」
「……玲夢。俺、誰かにストーカーされてないか?」
「え?」
こないだ詩と別れた後からずっと気になっていた。誰かに後をつけられてる気はしていたが、家に帰り着いた頃にはその気配も消えていて……。
ストーカーで一番考えられそうな人物と言えば、ヤンデレの彩葉なのだろうけど、俺にべた惚れなあいつが態々隠れるような真似はしないと思う。
それじゃあ、美月姫か?
美月姫はツンデレだし、コソコソしてても不思議じゃない。
いや、紫乃の可能性もある。
デレデレなあいつの事だから隠れて俺の姿を眺めているのかも。
それか、雨衣? 臆病なあいつも美月姫と同じくコソコソしてそうだ。
こないだから俺の後をつけているのは、この四人のうちの誰かだと思う。憶測だが。
「私は何も感じなかったけど?」
「いや、絶対俺、誰かに見られてる! 玲夢、早くそれを食べてここを出るぞ!」
「あ、ちょっと待ってよ!」
俺と玲夢は急いでファーストフード店を出ると、小走りで路傍を歩く。
犯人を突き止めるなら今がチャンスだ。
そして俺は後ろを振り向かず呼びかけた。
「コソコソしてるのは分かってるんだ。観念して大人しく出てきたらどうなんだ?」
静寂に包まれる中、俺は相手の出方を窺ってみた。幼馴染の四人のうち誰かなのは分かっている。
美月姫? 彩葉? 紫乃? 雨衣?
さぁ、出てこい!!
「……あーあ、バレちゃいましたか」
(え? あいつ等じゃない……?)
「勘だけは鋭いんですね? 先輩は」
あいつ等かと思ったのだが、そこに居たのは美月姫でも彩葉でも紫乃でも雨衣でもない。
一年のくせに俺に突っ掛かってくる霧崎が、俺達の後ろに立っていた。
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ここまでお読み頂きありがとうございますm(_ _)m
良ければ応援、応援コメント、★、レビューなどをよろしくお願い致します。
そして、明日からカクコン始まっちゃいますね。
執筆をされてる他の作者の皆様も参加されるかと思うのですが、応募者数がやばそうです。
僕は一番フォロワー数が多い、此方の作品を応募予定です。
ですが、10万以下って事もあり、すぐには参加は出来ませんが10万文字を満たしたら応募したいと思っています。
そして、いつか新人賞にも応募してみようかと考えています。
いきなり10万文字はきついし、每日少しずつ投稿していくしかないんですけどね(笑)
※次の話、19話は明日の朝6時ぐらいに予約投稿をしているので、読んで頂けると幸いですm(_ _)m
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