第15話 覚悟

亜希は、民間シェルターや保護施設など色々な解決策を考えてくれた。

しかし、暴力を振るわれているわけではない為難しいのではないか?と言う話になった。

圭介が多動症で、治療をしてこなかった為、衝動的に動いているのではないか?治療をした方が良いのではないか?という事も言われたが、「本人に治療の意思もなく、お金もなく難しい」と多恵は話した。

亜希は、「とりあえず最低限の生活が出来るようにしよう」と言い、まずは、銀行に事情を話して、カードの利用停止する事を勧められた。

次の日は丁度給料日で、銀行が開店するのと同時に銀行に行き事情を話し手続きをした。

そんな時に、銀行に圭介から電話が入った。

お金が下ろせなくなっていたからだ。圭介は、電話口に多恵を出す様に言い、銀行員も電話を繋いでしまった。多恵は「お母さんも生活があるから」とだけ言い、電話を切ったが、直ぐに掛け直してきたため取り次がない様お願いをした。お金を全額下ろし、新しいカードの発行手続きをして直ぐに銀行を出た。「亜希ちゃんありがとうこれで少し支払いが出来る」と多恵は言ったが、亜希は、「銀行にまで電話してくると思わなかった。これで支払いして家に帰ったらまた同じ事の繰り返しじゃない?」と不安気に話した。多恵も「その通りだと思う、圭介は、話しても引いてくれないと思う。どうしたら良いだろう?」と困っていた。亜希は、多恵の死にたいと言った言葉が頭から離れず、「やっぱり家を出たほうが良い多恵ちゃんは、覚悟出来る?」と話した。多恵は、逃げたいという気持ちでいっぱいで、「うん」と言った。

亜希は、結婚しており自身の母とも同居していた為、自分の家に来るのは難しいのではと考えていたが、「最悪うちに来れば良いけど」と言い、多恵とも仲の良い、同僚のシングルマザーの舞に連絡し、事情を話し少しの間、舞の家に居候できないかお願いした。

舞は、「良いよ。うちおいで」と躊躇いなく言ってくれた。

多恵は、暫く舞の家にお世話になる事になった。亜希は、舞の家に手土産を持ち「多恵ちゃんを宜しくお願いします」と頭を下げた。

多恵は、良い友達を持てて良かったと心から2人に感謝した。

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