第27話 考えの相違
多恵には、罪悪感があった。
亜希も、圭介は成人しているのだから、自立させるために距離をおく必要がある事も言っていたが、ずっと逃げ続けるという事に解決策は無いと言われ、それでも見つからないように必死で、圭介と話してもこっちの言い分なんて分かる訳が無いと思っている自分が悪いと言われている様な気がしていた。
亜希には、色々お世話にはなっていたが、自分から連絡する事は、殆どなくなった。
ただ、自分でも自覚していないが、困った時だけはいつも亜希に連絡をしていた。
他に助けてくれる人がいなかったからだ。
亜希は、なんとなく圭介の事を気にかけ、多恵に話した事で、自分を嫌煙しているのだと気づいていたが、多恵が転んで助けを求めてきたり、物を無くして連絡してくる時も直ぐに駆けつけていた。
亜希自身は心の中で、子供の頃に圭介の治療をきちんとさせなかった多恵にも問題はあったと思っていた。そのため、今の圭介が自分で行動を止められないのでは無いか?と心配で、治療できて、いい方向に向かえたら良いのにと思っていた。
しかし、治療にお金がかかる事も多恵は懸念しており難しいのかなと思い、それ以降は、圭介の事は一切口にはしなくなった。
また、多恵が、舞の家に居候していた時の家庭の事情や、気に入らない事を話したり、その後も舞の悪口を言う事もあり、亜希は、どんな状況でも、困っている中で、少しも考えず何ヶ月も居候させてもらっただけでありがたい事なのに、感謝の言葉を一回も聞く事なく信じられないと思っていた。
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