第28話 不信感

亜希は、以前多恵には深く関わるなと言われた事を思い出していた。

自分が、困った時だけ連絡をして来て都合良く使われているのでは無いかと思う様になっていた。それは、多恵の家で女子会をする事が何回かあったが、現地集合していて、亜希は車で到着していたが、友人から、もうすぐ駅に到着すると、多恵に連絡が入ると、迎えに行くねと多恵が返事をしているが、自分が行く訳ではなく亜希に毎回行かせていたり、亜希の買って来た物を、勝手に手土産に持たせたりする事が続いていた。

舞は、その多恵の行動に気づいていて、「あの人さぁ、迎えに行くねって返事してるけど、自分で歩いて迎えに行くわけ?」と亜希にも何も聞かず返事を返している多恵に対し苛立っていた。

亜希は、わかってくれてる人が居ると思っただけで少し救われた気がしていた。

しかし、同じような事を繰り返す多恵に、亜希も流石に頭に来て「それ私が買ってきたのに、勝手に使わないで」と亜希が買ってきたお酒や残った物を大盤振る舞いしようとしている多恵に注意した。

多恵は、言われた事に驚いており、何故か分からない様な様子であった。

普通であれば、自分が購入した物で無いものは人にあげたりはしないだろう。だが、多恵は、自分の家に置いてあり女子会の為に買われた物だから自分が、自由にあげていいと思っていたのだ。

亜希は、あげるのが嫌だと思っている訳でもなく多恵の行動に不信感を抱いたのだ。

お金を一円も出していない多恵が、毎回「これ持っていって、いいのいいの」と自分の物の様に渡している事が嫌だった。

一言、みんなに持って帰ってもらっていい?って聞いてくれれば良いのにと思っていた。

そもそも、全くお金を払う気が無い事に不信は募っていた。

それでも、亜希は自分がこんな些細な事で小さい人間なのかな?と落ち込んだりもしていた。

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