第31話 異世界に思いを馳せる

多恵は、何を言われてもあまりきちんと理解が出来ない様だった。いや、自分が悪くないと理解はしようとしないのだ。


亜希も、もう何も言わなかった。


多恵は、常に「こんな生活嫌だ、異世界に行けたらなぁ。魔法が使えたらなぁ」と思っていた。アニメを見て、自分が異世界に行ってチート能力で楽が出来たらと思っていたのだ。


異世界に行ったら大変だという思考は全くなかった。

ある意味、楽観的な人間なのだろう。困ったらその場さえなんとか出来れば根本解決は望まない。自分が楽して暮らせればそれでいいと言った感じだ。

人間関係も凄く薄っぺらで、困った時には近くにいる人間を頼りにし、解決してくれたら、それでお終い。苦労をして来た人生の様であったが何故このようになったのか?


結局、凄く欲しくて自分の手元に引き寄せた子供も、自分の生活には必要になれば見捨てる。

一時の感情だけで大きな事を決め、失敗すれば放り投げて来たのだ。


周囲に呆れられても本人は、お構いなし。気づきもしない。本人にとってはある意味幸せな人生なのだろうか?


60歳を迎える多恵は、色んなものを失いながら異世界に夢を馳せる。


いつか異世界に行けるのだろうか


                    完

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

おばちゃんは、異世界を夢見る まるまる @aki40sa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る