第19話 警察
引っ越しをし、色々な事が片付き始めていた。そんな時、亜希に多恵から電話がかかって来た。「今歩いてたら、圭介が車で通りかかって追いかけられて、狭い道に逃げて来たんだけどどうしよう」多恵は焦って話した。
亜希は「とにかく車通りがない道を通って隠れてて」というと、電話が切れてしまった。
亜希は、子供と一緒に車で多恵を探しに多恵の自宅の周辺まで行くが見当たらなかった。
仕方なく亜希は家に戻るが、心配だったが、電話も繋がらなかった。
夜になり、多恵から「見つからずに済んだ。怖かった。圭介は、車があったからそのまま追いかけて来なかったんだろうけど、暫く大通りは通らないようにする」と電話があった。
亜希は、このまま逃げ続ける訳にはいかないんじゃないかと思ったが、怖かったと不安がっている多恵には話さなかった。
それから暫くして、病院に警察から電話がかかって来た。
警察の話だと、グループで強盗をしようとし、警察に見つかり逃げている最中に怪我をし入院をした。今は怪我の治療が優先だが、治り次第、警察に収容されるという事だった。
多恵は、今までの出来事を警察に説明した。すると、警察に「息子さんは、もう成人されているので、お母さんに責任をという事はありません。寧ろ、そういう事でしたら今後も合わない方が良いかと思います。何かありましたら連絡させて頂きます。連絡先を伺って宜しいですか」と言われ連絡先を教えた。
多恵は、やっと落ち着いた生活が送れるようになったのに、またこんな事が起きるのかと肩を落とした。
圭介の起こした事件は新聞にも載った。被害者に怪我もさせており、主犯格は圭介だった。
多恵は、亜希に圭介が捕まった事を話すと、「多恵ちゃんが居なくなって、お金への執着が他に向いちゃったんだね」と言われた。
その通りだと思った。「やっぱり若いから、衝動的に行動してしまう事が多いんじゃないかな?怪我の治療だけでなく精神的な面も見てもらって治療できると良いのだけど」と亜希は圭介の多動症の事を気にしていた。
多恵は「そうだね、でも圭介は、小さい時だって薬飲まないって言って、医者も飲まなくて良いよみたいなこと言っちゃうから、それは飲まなくなるじゃん!そしたらもうどうにも出来ないじゃん」と興奮気味に話した。
亜希は、圭介の病気を知っていたのに治療をしてこなかった多恵にも少しは原因があると思っていたが、この言葉を聞いて、自分を一生懸命正当化しているんだろうなと感じた。
亜希は、自分の子供が落ち着きがなく心配し、病院受診や心理テスト、整体や漢方等色々とやっていたため、多恵の考え方を不快に思っていた。
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