第7話 浮気

夫の圭一は出張することが多くなり家を開けることが多くなっていた。

圭一は、仕事での出張も勿論あったが、家に帰る事が嫌になっていた。

自分と血の繋がらない圭介に愛情を注ぐ事が出来なかったのだ。

そんな矢先、圭一は、取引先の社長と海外出張に出かける事になり、夜の街へと誘われる。「たまには息抜きもしないと」という言葉に、そうだよな、自分ばかり我慢してたまには良いよなという気持ちになっていた。久しぶりに、若い女性と酒を飲み、圭一は解放された気分だった。ホステスのうちの1人が圭一に好意を持っているようだった。

社長から「この子君に気があるみたいだよ」と隣の席に充てがわれた。

その子は、まだ20代前半位の可愛らしい子だった。拙い日本語に、恥じらいの様なものも感じられ圭一は、直ぐに好意を持った。

その出会いがきっかけとなり、出張と言っては彼女に会いに行った。圭一は、どんどんのめり込み、彼女に高価なプレゼントをしたり、お小遣いを渡したりとお金を注ぎ込んでいった。

多恵は、圭介の事で頭がいっぱいで圭一の行動を気にも留めていなかった。

多恵が浮気に気づいた頃には圭一は、浮気相手に本気になっていた。彼女は妊娠していた。

圭一から、「別れて欲しい。彼女は俺の子供を妊娠してる。」と離婚を切り出され、多恵は自分は子供が産めなかったから仕方がないと思った。誰にも相談する事もなく離婚を承諾した。

でも、多恵は悔しかった。浮気をされた事も自分が望んだ子供が相手にいる事も悔しくて悲しくて一晩泣き腫らした。

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