第6話 子供
多恵は、圭一との2人の生活を楽しんではいたが、子供を諦める事が出来なかった。
そんな時、里子を引き受けたいと思い、圭一に相談をした。圭一も初めは簡単な事では無いと反対をしていたが、「里子でも、血が繋がっていなくても、私達2人が大切に育てれば私達の子供だよ」と何回も説得する多恵に、圭一も里子を引き取ることを決意した。
多恵35歳の時である。
3ヶ月の赤ちゃんを引き受ける事ができた。名前は、圭介と名付けた。多恵は、周囲に里子を引き受けた事は話さなかった。自分の子だと話したかったのだ。
圭介は、抱っこしていても泣く事が多い子だったが、顔を見ているだけで、多恵は、幸せな気持ちで溢れた。
一方圭一は、突然変わった環境についていけずイライラする事が多くなっていた。
圭介が5歳になった頃、幼稚園の先生から、「お友達に石を投げて怪我をさせてしまった。それに落ち着きもないし、1回診てもらった方がいいのでは無いか」と言われた。
圭一に相談すると、「お前の育て方が悪い!甘やかし過ぎだからこんな事になる」と苛立った声で言われた。
圭一は、子育てには殆ど介入せず、家では苛立つ事が増え会話も減っていた。
多恵は、どうしたら良いのか悩み、近隣で有名なクリニックを調べ圭介を連れて受診した。
結果は、多動症という診断だった。
多恵は、多動症というものがよく分かららなかったが、落ち着いていられない子なのだという事だけは理解した。病院で、内服を処方されたが、圭介は、「苦い」と飲むのを嫌がって、そのまま様子だけを見ていく事となった。
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