第5話 結婚生活

多恵は、結婚と同時に仕事を辞め家庭に入った。元々、物事を進めるのが遅い多恵にとって仕事と家庭の両立は難しいと考えたからである。

結婚生活に期待を持っていたが、多恵の思うようにはいかなかった。

圭一は色々な事に細かく、料理は温かいうちに出されないと食べない、掃除の仕方、洗濯の仕方色々な事を注意された。

家計は任せてもらえず、毎月これでやりくりしろとお金を渡された。

それでも多恵は、自分に色々な経験が無く注意をされるのだと思っていた。

それよりも多恵は、圭一の子供が欲しいと思い早く出来ないかと心待ちにしていた。

しかし、5年経っても子供が出来ることは無かった。生まれつき子供を産めない身体だったのだ。多恵は「どうして自分ばかりこんな身体なの」と声を殺し泣いた。

圭一に責められる事は無かった。しかし、多恵は、子供の産めない女だと分かっていたら結婚してなかったんじゃ無いか?と不安に思った。

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