第10話 家族?
多恵は、小林に懐く圭介を見て、やはり父親は必要だったのかと感じた。圭介に、申し訳ないという気持ちと共に、家族になれたような気持ちにもなり嬉しくも感じていた。
多恵は、圭介に里子である事を話さなくてはいけないのではないかと思っていた。最近では、圭介も落ち着いて来ていたため、伝えようと決めたが、多恵は、自分が話すより小林が話した方が圭介がすんなり受け入れられるのではないかと思い、小林に、圭介が里子であることを伝えさせたのだ。
圭介は、「自分はいらない子だったんだ。だから離婚をしたんだ」そう言うと家を飛び出してしまった。
まだ中学生であった圭介にとって、多恵本人からでもなく、小林から実の親だと思ってきた親と血が繋がってなかった事を知らされたのは衝撃的で、頭の中が混乱した。
そして、お母さんは、何で小林くんに言わせたんだろう、大事な事じゃなかったのか?
自分が邪魔だという事なのか?
圭介の中には、悲しさもあったが、怒りが込み上げていた。自分の居場所はもう無いと思っていた。
飛び出した圭介は、警察に補導され帰ってきたものの、口を聞く事は無かった。
多恵は、小林に話させた事が、圭介を傷つけているとは気づいてもいなかった。事実を知って少しパニックになるのは想定内だと思っていたからだ。しかし、それ以降圭介は、学校もサボりがちとなり、不良グループと関わる事が多くなり万引きやカツアゲをしたり、素行が悪くなっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます