第14話 反抗

圭介は、刑期を終え出所し多恵の元へ戻った。

多恵は、圭介に「おかえり」とだけ伝え何も言わなかった。

圭介は、苛立っており「金といい」多恵が財布を出すと、入っていたお金と銀行のキャッシュカードを抜き取った。「暗証番号は?」という圭介に、「教えられるわけないでしょ」と多恵が言うと圭介は、多恵を布団で、簀巻き状態にし、上から踏みつけ「言えよ」と威圧した。

多恵は、自分の子供ながら恐怖を感じてしまった。「4444」多恵は、暗証番号を教えてしまった。圭介は、それだけ聞くとそのまま出て行った。多恵は、どうなってしまうのだろうと不安で仕方なかった。

多恵は、通勤する為のお金さえ残っておらず送迎バスの停留所まで2時間かけて歩いた。

仕事の時は、給料から食費が引かれていた為食事することが出来た。

ご飯を山盛りによそって半分おにぎりにして持ち帰り、家ではそれを食べた。

圭介が戻った時には、カードを返すよう話したが返してくれなかった。

2ヶ月が経ち、お金がなく、携帯が止められ、家の電気、ガス、が次々に止められた。

多恵は、風呂に入る事も出来ず水で頭を洗って体を拭いた。洗濯物も手洗いしていた。

仕事に行くのに、臭っていないか気になって仕方がなかった。元々華奢だったが、多恵の体重は、30キロ台まで減っていた。

多恵は、返せるあてが無かったが、「給料が出たら返すから」と言い職場の同僚にお金を借りる様になった。

借りたお金で、水道代だけは払っていた。

ある時、多恵は、職場の同僚の亜希に、「死にたい」と漏らしてしまった。

亜希は、看護師で多恵と一緒に夜勤をする事もあり、病院の食事でおにぎりを作ったりしている事、他の人にお金を借りている事も知っていた。亜希は、「最近やつれてるし、どうしたの?」と声を掛けた。多恵は、今まで誰にも話せず我慢をしていたが、これまでのことを話し、「もう死ぬしか無いんじゃないかと思う」と言い号泣した。

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