第8話 夜空に手を差し伸べた速水

合コンを富樫という同級生と健介という友人とし始めた。

佐藤さん、田辺さん、速水がお相手だ。

俺はその中で今現在.....速水と対面しているのだが俺に対して厳しい目をしている。

そして.....少しだけ恥じらっている。

どっちなのだ。


「.....」


「.....その、速水?何か話してくれ」


「.....」


「.....」


困る。

いや、俺が話題を出せば良いのかもしれないけど。

まあでも速水と何時も話しているからなぁ.....。


話す事無いよなぁ.....。

思いながら.....俺は考える。

そして、よし、と質問をする。


「お前、この中では誰が好きだ?」


「ふえ?」


「.....え?あれ?」


「.....」


地雷を踏んだ様な顔をする速水。

俺は、もしやこれはマズいか?、と思う。

そうして.....考え込んでいると速水が、えっと私は.....、と俺をチラ見する。

そうした所で富樫が手を叩いた。

はいはーいみんなチェンジ、と言いながら、だ。


「富樫。待ってくれ。俺は速水から.....」


「.....大丈夫だよ。富樫君。じゃあね。イスカ君」


「い、良いのか?」


「.....うん」


速水は恥じらいながら.....それを隠す様に席をチェンジする。

そして最後に田辺さんが目の前に腰掛けた。

フェロモンばりばりの女性が、だ。


結構胸も大きくてヤバイんだが。

香水のとても良い香りがする。

甘い香水の香りだ。

俺は真っ赤に赤面する。


「初めまして。田辺です」


「.....お、俺は山寺イスカです」


そんな感じで会話していると足を踏まれた。

俺は横を見る。

そこにツーンとした速水が居た。

エッチ、的な感じで頬を膨らませている。


「.....???」


「え?どうしました?山寺さん」


「いえ、何でも無いです.....」


田辺さんに謝りながら足を摩る。

何でこんなに関わったり蹴っ飛ばしてくるんだ?

俺は意味が分からない.....、と思いながら。


顎に手を添える。

そして一つの可能性が過った。

まさか、と思うが.....いや、無いか。



「じゃあ次はデート擬きをやってみよう」


「.....何だ?デート擬きって」


「簡単だ。気に入った人とデート擬きをするんだ。それでハッキリするんじゃないか色々と」


「それはつまり.....疑似デートか?」


富樫は、オウ、と返事をしながら笑みを浮かべる。

それから司会役の富樫は女性陣を見渡した。

そして.....じゃあみんな、それぞれ散らばって。

気に入った人の元に向かうんだ、と富樫は提案した。

で、こうなる。


富樫=無し


健介=佐藤さん


俺=田辺さんと速水。


何だこれ?!

俺は愕然としながら富樫を見る。

富樫は、あ。アハハ、と顔を引き攣らせていた。


何というかすまん富樫。

お前.....無念だ、としか思えない。

チャラい所が受けなかった様である。


しかしそれは良い。

何故俺の元に.....速水と田辺さんが集まったのだ。

意味が分からない。

思いながら田辺さんを見ていると田辺さんはニコッと笑みを浮かべた。


「私、貴方に魅力を感じたからね」


「.....そ、そうですか?俺ってそんな魅力無いと思うっすけど.....」


「.....わ、私だって」


「.....速水?!」


横を見ると健介が赤面で佐藤さんを見ている。

佐藤さんはニコニコしている。

そして俺は改めて目の前の田辺さんと速水を見る。


田辺さんも速水もバチバチと火花を散らしながら.....居る。

富樫が、ち。畜生!、と飛び出して行く。

オイ!?司会役!?


「.....司会役が居なくなった.....」


俺は額に手を添える。

そうしていると速水が提案してきた。

田辺をライバル視しながら、だ。

俺は?を浮かべる。


「じゃあこうしたら良いんじゃないかな。私と田辺さんがそれぞれデートする。そして.....どっちが魅力が有るか.....イスカ君に見てもらう」


「そうね。それが良いかも知れないわ」


「.....」


この事に真っ赤に赤面する俺。

健介は佐藤さんになすがままになっている。

それを見つつ.....俺は目の前の二人を見る。

どうしたら良いんだこれ.....。

マジに困る。


「私は負けないよ」


「.....私も負けないから」


その様に話す2人。

そして.....結論から言ってじゃんけんで俺とデートをする順番は1が田辺さん。

それから2で速水という事になった。

俺は田辺さんと一緒に外に出る。



「どうして俺に付いて来たんですか?」


「.....私は信頼出来る人が好きなの。だから貴方に惹かれたの」


「.....そ、そうですか.....でも俺ってそんなに信頼が高い様に見えますか?」


「見えますよ。だって.....聞いた噂ですけど家庭教師をしっかりなさっていると聞きました」


「.....!」


俺と田辺さんは近隣のデートをしていた。

そして.....俺を見てくる田辺さん。

笑顔を浮かべている。

改めて見ても綺麗な中で.....清楚だな、って思う。


そうしていると田辺さんが、でもそれはそれで良いんだけど.....何だかつけられてないかな?私達、と.....田辺さんが少しだけ不安そうに背後を見る。

俺は目を丸くしながら背後を少しだけ見る.....え?

確かに誰か居る.....。


「.....夜空.....!?」


背後を何故か夜空がつけて来ている。

俺は見開きながら、何をやっているんだアイツは、と思う。

田辺さんは俺を見てくる。

誰?、とヒソヒソと聞いてきながら。


「.....義妹です。何をやっているのか分からないですけど.....」


「義妹さん?.....成程.....」


「.....もしかしてこのデートを見張っているのかもしれないです」


「え?.....それはつまり義妹さんも貴方が好きなの?」


そんなまさか。

俺は思いつつ背後をチラ見しながらそのままカフェに帰って来る。

そしてドアを開けてエスコートしているとスマホにメッセージが入ってきた。

俺はスマホを確認すると.....夜空だ。

見開きながらメッセージを読む。


(イスカ.....デートなの?)


俺はその事に、うん?まあそうだな.....、と返事をする。

すると、イスカ.....あんな美人さんと?、と次々にメッセージが来る。

何だか.....不安定な感じだ。

俺は???と思いながら画面を見つめる。

そうしていると.....速水がカフェのドアを開けて顔を見せた。


「どうしたの?」


「い、いや.....」


と返事していると。

速水が、あ、と声を出して背後を見た。

どうやら速水は夜空に気が付いた様である。

それから.....速水が俺を見てくる。


「もしかして夜空ちゃんは見ちゃったの?.....デートの姿」


「.....ずっとつけて来ていた様だ」


「.....成程」


速水は夜空に静かに近付いていく。

耳打ちをしていた。

俺は?を浮かべて.....見つめる。

それから.....夜空を連れて戻って来た。

夜空は少しだけ俺を見ている。


「イスカ君。夜空ちゃんもこの合コン後パーティーに参加させて良いかな」


「え?でも未成年.....」


「うん。分かってる。でももう合コンは終わったし良いでしょ?......この前からずっと悩んで思っていたんだ。流石に夜空ちゃんは未成年だし、と思ったし。もしかしたらって思ってたら予想通りだった」


「え?何がだ?」


「.....そこら辺は秘密だよ。アハハ」


それからイスカ君。私ね夜空ちゃんと友達になる、と言葉を発する。

俺はますます?しか浮かばなかった。

どうなっているのだ?

速水は何か計画がある様に見えるが。


「.....ね?夜空ちゃん」


「.....うん」


「.....」


何がどうなっているのか分からないが。

取り敢えずは.....まあ速水に任せてみるか。

思いながら俺は.....速水を見る。


夜空は、涙を浮かべている。

何かを焦っている様な感じだ。

それは何がそうさせているのか分からなかった。

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