試される絆

第37話 謎の告白と雪代の秘密

照魔君と春香ちゃんのそれなりの気持ちを知ろうとしての翌日の事だ。

俺は驚く事になる。

その事件がいきなり起こったから、だ。

大学の授業が始まってからの事だが.....。


俺は千佳と健介と共に大学の授業を受ける。

すると.....茶髪の少しだけ化粧が少しだけ濃ゆい女が俺に声を掛けてきたのだ。

茶髪に髪留めを着けている胸のでかい女。


「貴方が速水と付き合っている男の子?」


「そうですが?.....何かご用事ですか?」


「私、山根。.....山根美玲というんだけど.....ちょっとお願いがあるの」


そう言って俺の手を山根は引いた。

それから人気が少ない場所に連れて行かれる。

何だ!?、と思いながら俺は山根を見る。

すると山根は俺に向いてニヤッとした。

それからとんでもない事を言い出す。


「.....私と付き合ってくれない?」


「.....は?.....は!?」


「私は貴方が好きなの。だから速水と付き合っているのが気に入らない」


「.....失礼だな。.....気に入らないって俺は千佳を好いているんだ」


「.....そうなんだね。でも気に入らないから。だから別れて」


滅茶苦茶すぎる。

しかも一体何を言っているんだ。

そんな事は出来ない、と俺は眉を顰めて嫌気が差してそのまま別れた。


それから帰ろうと思ったら。

俺の手を握ってそのまま胸に押し当てやがった。

驚愕して俺は見開く。


「胸大きいでしょ?.....速水よりも」


「.....馬鹿な真似を。こんな事をしても意味無いぞ」


「.....私と付き合えば色々と教えてあげるよ?.....色々と」


「.....ハァ.....」


俺はその手を飽きた様に振り払う。

それから.....そのまま俺は帰ろうとした。

すると背後から、諦めないから、と声がしてくる。

その日からだった。

山根などから嫌がらせが始まったのは、だ。



それから翌日以降の話だ。

嫌がらせというか簡単に言えば山根が俺に迫ってくる、又は俺達が付き合っているのを人を使って妨害してくる感じだ。

俺はその事に.....サークルで雪代先輩に全てを相談した。

すると雪代先輩は木製のバットをゆっくりと何処かから取り出す。

ちょ、オイ。


「幸せな2人を嫌がらせをしてくるなんてやけに挑戦的だね。裏が有るかもしれないけどまあそれなりにぶっ殺してやろう」


「半殺しって事ですかね!?駄目ですよ!犯罪です!」


「俺も殺したい気持ちだな。これは許せん」


「止めて下さい!長谷川先輩」


「僕も参加しますよ。当然の事ですが許せないです」


「お前もかよ!」


ったく世の中には本格的に嫌な奴がいるもんだね。

と箸を口に咥える仕草をする.....雪代先輩。

まさかと思うが必殺仕◯人の真似か?


古すぎる.....なんて言っている場合じゃない。

この人なら本気で必殺で殺してくるかもしれないじゃないか。

と思っていると遠山が口を開いた。


「雪代先輩。何処で半殺しにしますか?」


「そうだね。グラウンドが良いんじゃないかな。呼び出して殺してやろう。2度3度でもそれなりに、ね」


2人は憎悪を撒き散らす。

あ、これ相談相手を間違えた気がする。

俺は苦笑いで横の千佳を見る。


千佳は悲しげな顔をして俯いて沈んでいた。

いかん.....こんなジョークなどでも気分が上がらない様だ。

困ったな.....。


「まあ冗談はさておき。どうしましょうか?雪代先輩」


「.....冗談抜きで言うとするなら?本当にイスカ君が好きなんだろうね。.....まあでもやり過ぎ。そして千佳ちゃんを悲しませている時点でアウト。だから.....この場所に本当に呼び出そうかなその人。又は.....教授に相談するかな。学生課とか」


「先輩.....すいません。本当に」


「気にしなくて良い。山寺。嫌なものは嫌なんだからな」


「そうそう。ね?遠山君」


許せないです、と遠山もかなり怒っている。

眉を顰めて眼鏡を上げながら、だ。

そうだな.....どうしたものかな本当に、と思う。

すると千佳がこの様に言った。


「私達、なんか偉そうにしていたのかな」


「.....そんな事は無い。千佳。大丈夫だよ。きっと」


「.....でも何だかこんなにされると落ち込む感じだね」


「......そうだな。確かにな」


千佳は本気で悲しんでいる様だった。

俺はその姿に眉を顰めながら雪代先輩を見る。

雪代先輩もかなり怒っている様だ。


相当にキテいる感じである。

そして、雪代先輩はまあこうしていても仕方が無いね、と立ち上がる。

それから、学生課に行こうか、と俺に向く。

でもこの状況が改善するかな.....。


「取り敢えずは私も相談する。.....それなりにパイプは持っているしね」


「.....そうなんですか?」


「まあ私は留年しているからね。7年前に入学したし詳しいしパイプもいっぱいだよ?アハハ」


「.....!?」


笑えない話が出てきたぞオイ。

今何と言ったのだ?

それだと4年間留年!?


留年って本当にあるのか!?

8年ぐらいしか在籍出来ないのに!?

良く居たな!?


思いつつ俺は雪代先輩を驚愕の眼差しで見る。

遠山も千佳も驚愕している。

長谷川先輩も、やはりか、という顔をしていた。

そして長谷川先輩は額に手を添える。


「あれ?言って無かったかな?私は三十路近いぞ。アッハッハ」


「.....雪代先輩。それでよくやって来れましたね.....」


「私はこの大学生活が楽しいからね。アハハハハ」


「.....いや楽しいってか.....」


幾ら何でもアカンでしょう。

俺は苦笑いを浮かべる。

するとその中で。

フフッと千佳が笑みを見せた。

俺はその姿を見てから、良かった。ようやっと笑った、と思う。


「良かった。千佳ちゃんようやっと笑ったね」


「はい。.....有難う御座います。雪代先輩」


「話を戻すけど本当に酷い話だね」


「.....ですね。雪代先輩」


長谷川先輩も顎に手を添えていた。

すると雪代先輩は、よし、と机を叩く。

まあ取り敢えずジッとしていても仕方が無いからどうにかしないとね、とそのまま立ち上がった。

それからドアノブを握る。


「.....取り敢えずは私は学生課に行く。.....これはどうにかしないとね。それから対策会議を開こうか。.....関係者を呼んでからね」


「.....ですね」


「そうですね」


フフフ.....。

と怪しげな笑みを浮かべて.....そのままニヤッとした全員。

俺と千佳以外の、だ。

許せない事に鉄槌を下す様な感じだ。

俺は苦笑する。


「.....有難いね。いー君」


「.....大丈夫か?千佳」


「うん。少しショックだけど大丈夫だよ。有難う」


「.....ここからが勝負だな.....」


「.....だね。いー君。でも.....ハァ.....」


千佳はそれなりにまた落ち込む。

その姿を見ながら俺は顎に手を添える。

俺達はどうするべきか。


そして山根に対して.....どうあるべきか。

考える必要があるのかもしれない。

このままでは色々と迷惑が掛かってしまう。

そもそも何でいきなり俺に山根は接触してきたんだ?、と思う。

随分前から山根は俺のクラスに居た気がするが、だ。


でも何れにせよ。

千佳が傷付いているんだから.....許せない問題だ。

急がなければいけない。

困ったもんだ.....。

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