イスカの大切な人との再会
第13話 雪と参考書の買いと.....追跡者
とある女の子の家庭教師の担当から外れたいと大谷さんに言った当日の事であるがその担当の女の子が俺に恋をしていると告白してきて更に俺を追って来た。
俺は困惑しながら.....明日香さんと夜空を見る。
そうして帰って来てから.....俺は健介と電話で話していた。
健介と佐藤さんが上手くいっているか聞く為とかもあるけど、話がしたかったのだ。
『しかしお前には嫉妬しか無い。本当に、だ』
「健介。俺だって好き好んでこの状況下に至っている訳じゃ無いぞ。勘弁してくれ」
『正直.....佐藤さんにようやっと惚れられた俺からしてみれば本当に嫉妬の渦しかない』
「.....ま、まあそうだな.....」
『.....まあそれは置いておいて。それでお前は大変な事になっている様だな』
ああ。
と俺は返事をする。
それから、後で速水にも連絡するけどな、と答える。
健介は、うむ。そうか、と答え返した。
それから健介は、恋とは複雑だな、と言う。
「確かにな.....」
『それに明日香さんとやらはお前が好きなのだろう。.....それなりに配慮をしてあげるべきではないだろうか。いくらお前が担当だと言えど、だ。』
「.....でもな俺としては.....明日香さんと距離を取った方が良いと思っている。何故かって言われたら.....お互いの為にならないと思うから」
『だが恋はそれで終わって良いのか?よく分からないが』
「.....それはグサッとくるな。確かにな.....でもどうしようもないだろ」
俺はあくまで家庭教師だ。
その為、生徒に絶対に手を出す訳にはいかない。
だから距離を取った方が良いと思ったのだが.....健介は、うーむ、と悩んでいる。
俺は、有難うな。心配してもらって、と言葉を発した。
健介は、いや、と回答する。
「それはそうとお前は佐藤さんとは上手くいっているのか?」
『も、勿論だとも。上手く彼女は.....付き合ってくれている』
「お前にとっては初彼女だもんな。健介。俺の知っている限りでは」
『う、うむ』
「.....佐藤さんを愛してやれよ。大切にな」
この言葉に詰まる健介。
だけど直ぐに、そうだな、と健介は柔和な感じで返事をしてきた。
俺はその言葉に笑みを浮かべる。
それから柔和な感じを見せていると。
ドアがノックされた。
それからドアが開いて夜空がゆっくり顔を見せる。
健介。すまんまた後でな、と電話を切った。
「お兄ちゃん」
「おう。どうした。夜空」
「.....その。.....えっと。.....私ね.....お兄ちゃんのご飯が作りたい」
「.....は?ご飯って何だ」
「お、お弁当!.....お兄ちゃんに愛妻弁当!」
俺は真っ赤になる。
何だって!?、と思う。
愛妻弁当って何だよ!!!!!
そんなもん.....、と思うのだが.....。
夜空は真剣な表情になっている。
「私はお兄ちゃんが好き。だから愛妻弁当」
「.....意味が分からない!何故それで愛妻弁当なんだ!?」
「い、良いでしょ。別に。私だって.....明日香さんみたいに攻めたいもん」
「.....でも負荷が掛かるからたまにで良いぞ。.....お前、無理するから」
「毎日作るもん」
無理だろ。
俺は額に手を添えながら首を振る。
それから.....苦笑いを浮かべた。
頬を夜空は膨らませている。
それから.....俺に寄って来た。
「.....大丈夫だよ。.....お兄ちゃんの知っている女性の様にはならないから」
「.....」
「.....私は無理しないもん」
「.....ああ」
俺の知っている女性。
その女性とはつまり.....俺を救ってくれた女性だ。
実は.....過労で倒れたのだ。
それから.....その女性は転勤した。
俺を.....心配しながら、だ。
また誰かが倒れる。
その事を夜空は心配しているのだ。
「私、お兄ちゃんの横でお兄ちゃんを支えるもん」
「.....そうか」
「今度は私達の番だよ。お兄ちゃん」
「.....無理はしないでな」
「.....うん」
そうしていると。
電話が掛かってきた.....ってかまたかよ。
俺は、?!、と思いながら電話に出る。
その主は.....速水だった。
『もしもし。イスカ君』
「何だ。速水」
『聞いたよ~?夜空ちゃんから。.....また好かれているんだね。君』
「.....そ、そうだな.....うん」
『でも流石だね。理由も聞いたよ。.....電車の自殺から救ってあげたんだってね』
俺はビックリしながら夜空を見ながら、ああ、と返事をした。
夜空はまた漫画を取り出しながら読み始める。
俺はその姿を見ながら学習椅子に腰掛ける。
そいて速水に向いた。
「速水」
『何?イスカ君』
「俺は.....その子とはあまり距離を詰めない様にしようと思う。互いの為にならないから」
『でもイスカ君が好きなんでしょ?だったら.....』
「分かるけどな。でも.....仕事だから」
速水は、そう、と少しだけ黙る様に沈黙。
でも、数秒経ってから言葉を発した。
それから、明日香さんも同盟に入れて良いかな、と語り始める。
え?、と思いながら俺は目をパチクリした。
『私ね。.....やっぱり本気で君が好きって人を放って置けない。君が仕事仕事と言ってもね』
「.....速水.....」
『同盟に彼女を入れて.....から。共に戦いたい』
「.....」
『勿論、平和的にね。誰も不幸にならない様にならない様にね。雪さんも同盟に入れようと思ってる』
俺は更にビックリしながら。
速水に、そうか、と返事をした。
もうこうなったらヤケクソかな、と思う。
でも.....これも良いのかな、って思う。
「お前さ変わったよな」
『私は.....みんなのお陰で変われたんだよ』
「.....そうか。それは良かった」
『みんな君を支えたいって思っているんだから。アハハ』
「.....俺はもう十分に支えられているぞ」
そうかな?でもまだまだだよ、と速水は、ニヒヒ、と笑顔を見せる。
そして俺は夜空を見てから。
速水、と話す。
すると速水は、何?、と聞いてきた。
「今度さなんかあるじゃん?大学で。それにみんなを呼ぼう」
『もしかして部活動パーティーの事?』
「そうそう。5月になんか大学で小パーティーするじゃん?それに呼ぼう」
『君がそんなに積極的になるなんて。アハハ』
「いや、ふと思ったから」
うちの大学ではみんな喜んでもらう為にという感じで5月にパーティー擬きをする。
大学がパーティー好きだからもあるが。
俺は考えながら速水の返事を待ってみる。
すると、良いね、的な感じで返事があった。
『みんなでパーティー。クスクス。何だか楽しみ』
「.....有難うな。速水」
『良いよ。別に。アハハ』
「.....じゃあ今日はこれで切るな。また明日な」
『うん。.....あ。そうだ。えっとね。明後日だけど.....大学の講義が余り無いから.....君とお家デートがしたい』
いやちょっと待て何でだよ。
いきなりすぎるだろ。
俺はブハッと噴き出した。
それから、速水。そ、それは、と言葉を発する。
いいじゃん。デートしよう、と笑顔を見せた。
「同盟は大丈夫なのか?」
『徐々に距離を詰めていくだけだから.....大丈夫だよ』
「何だか声が怪しいんだが!本当に大丈夫なのか!?」
俺は思いながら.....スマホを見る。
それから夜空を見ると。
いつの間にかジト目をしていた。
ナニヲケイカクシテイルノカナ?、と、だ。
俺は首を振ってから、速水。無理だろ、と答える。
だが。
『大丈夫。午前中なら』
「.....お前.....」
『同盟の目的は徐々に距離を詰めてから.....告白以外の事をする自由な感じだから.....誘惑するぐらいなら大丈夫だから』
「徐々にっておま。自由ってお前.....」
俺をジーッと目を細めて見てくる夜空。
その事に.....俺は溜息しか出なかった。
また板挟み状態だな.....、と、だ。
そして俺と速水の秘密裏のデートが始まった。
☆
翌日の事。
なんというか休日だったので俺は雪さんの約束を果たす事にした。
約束ってのは要は参考書を買いに行く事。
デートじゃないデートをするのだ。
「今日は有難う御座います。.....山寺先生」
「.....いいや。こんな俺で良いなら幾らでも付き合うよ」
「有難う御座います」
「.....じゃあ.....行こうか」
俺達は参考書を買いに歩き出す。
そうしていると.....何だか背後から人が付いて来ている事に気が付いた。
俺は携帯の画面で反射して見てみる。
そこに.....速水と明日香さんが付いて来ているのに気が付いた。
サングラスを掛けているが.....。
何をしているんだ.....?
と思いながら俺は気が付いてないふりで歩き出した。
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