第14話 イスカの初恋の相手の保健室教師

雪さんと参考書を買いに行く。

俺はその事で.....私服姿の雪さんと歩いていた。

雪さんは顔が赤い。

やはりそうなのか.....?、とも思ってしまう。

何がと言えば.....雪さんも俺が好きなのか?、と、だ。


「わ、私.....嬉しいです。一緒に歩けて」


「.....そ、そうか。それは良かった」


「参考書を一緒に買いに出てくれて有難う御座います」


「大丈夫だよ。雪さん」


俺は雪さんを見ながら笑みを浮かべる。

そんな雪さんは俺に柔和に向いてきながら髪をかき上げる。

そして.....俺に向いてきて、エヘヘ、と赤くなる。

俺はその姿と良い香りに赤面しながら.....目の前を見る。

本屋が見えてきた。


「もう直ぐだね」


「はい。そうですね」


「.....」


それは良いのだが.....背後からサングラスを掛けた女性組が追い掛けて来る。

アイドルの追っかけの様に、だ。

俺はその事に苦笑いを浮かべながら雪さんを見る。

雪さんは気が付いてない様なので.....まあ良いが。

考えながら俺は.....本屋に立ち寄った。


「俺としては君に最も合った参考書を選ぶべきだと思うから俺が選ぶよ」


「.....有難う御座います。そう言ってくれると嬉しいです」


「アハハ」


それから店内に入る。

そうして参考書と.....40代ぐらいの女性が居た。

俺は帽子を被っていた為にあまり気にしないでその女性の傍で参考書を探して雪さんに渡す。


そんな感じで居ると.....、あの、と声がした。

俺は目をパチクリして顔を上げる。

40代ぐらいの女性が柔和そうに俺を見ていた。


「何処かでお会いしましたか?貴方の顔、見た事があります」


「いえ?俺は貴方とは.....でも.....え?」


「私、定森千賀子(さだもりちかこ)と言いますが.....もしかして、と思います」


「.....え.....」


俺は参考書を落としてしまった。

その事に雪さんが、慌てる。

ど。どうしたんですか!?、と、だ。

俺はそれを拾って慌てながらその女性に聞いてみた。


「.....すいません。以前、中学校の保健室の先生をなさっていませんでしたか?」


「.....そうです。七島中学校の.....あ。やっぱりイスカ君だったんですね」


「お久しぶりですね.....」


「.....はい。お久しぶりです」


驚愕しながら俺は定森先生を見る。

すると雪さんが、どちら様ですか?、と目を丸くしながら聞いてきた。

俺は定森先生を紹介する。

此方の方は.....俺が世話になった先生だよ、と、だ。

定森先生は頭を下げた。


「イスカ君。こちらの可愛い女の子は?」


「あ、えっとですね。俺、アルバイトをし始めたんです。それで.....この子は教え子です」


「.....まあ.....そうなのですか.....」


「.....はい」


イスカ君.....内気で.....心配していたの。

そうなの、と涙を浮かべた定森先生。

それから.....涙を拭ってから笑顔を見せる。

アルバイトが出来るようになったのね、と、だ。

俺は少しだけ恥じらいながら、はい、と返事をした。


「家庭教師って事なのですか?」


「.....そうです。.....あ、それはそうと定森先生はこの場所で何をなさっているんですか?何だか.....専門書を探されていましたが.....」


「私.....イスカ君の様な子供を救いたくて.....必死に勉強しているんです。その影響で.....イスカ君に出会えて良かった」


俺は何だか恥ずかしくなって赤面する。

と言うかずっと思っていたのだが.....、この特別な感情ってまさか、と思う。

まさか俺って定森先生が好きなのか?

俺は赤くなる。


「.....イスカ君」


「.....は、はい?」


「私、結婚しました。それで今、息子と娘が居ます。.....今度、うちに遊びに来て下さい、住所とか教えますから.....是非とも」


「.....あ.....」


やはりか。

惚れている女性は.....結婚していた。

俺は少しだけ悲しげに思いながらも年齢とかも、そうだよな、と思い。

そのまま拳を握ってから耐えて柔和になって返事をした。


分かりました定森先生、と、だ。

失恋してしまった.....。

と思いながら見ていると定森先生は俺の額に手を添えてくる。


「君は大きくなりましたね。.....あの頃よりも遥かに。.....だからもう私は必要無くなりましたね」


「そんな事は無いです。先生。俺、先生に色々なものを頂いたんですよ?」


「そうかもしれませんね。.....でももう与えられそうな物はもう無いですよ。フフフ」


「.....俺.....」


貴方は一歩を踏み出した。

その事は非常に大きいと思います。

私は.....嬉しく思います、と答える定森先生。

その姿を見つつ。

俺は時計を見てから定森先生に向く。


「何時までも引き留めたらマズいですね。.....先生。また今度お会いしましょう」


「そうですね。有難う御座います。ご配慮」


「.....」


失恋してしまったが.....良いものを獲得出来た気がする。

思いながら.....俺は定森先生を見る。

それから.....少しだけ柔和になりながら笑みを浮かべる。

もう俺は一人じゃ無いしな。


「私は何時でも貴方を見守っています。だから.....貴方は恐れずに前に進んで下さい。.....貴方の周りはもう一人じゃないみたいですしね」


クスクスと俺の背後を見る定森先生。

その目線は.....背後で困惑している速水と明日香さんに向いている。

雪さんが驚愕しながらその2人を見る。

俺は定森先生を見ながら、はい、と返事をした。


「では私は失礼します。.....今日は会えて良かったです。イスカ君」


「はい。定森先生」


「.....貴方のその笑顔が私は好きですよ。キープスマイルですね」


「.....有難う御座います」


それから.....定森先生は去って行った。

俺は住所を交換したので.....今度行ってみようと思う。

すると.....横の雪さんが、良い人ですね、と呟いた。

でも嫉妬します、とも、だ。


「え?何が嫉妬なんだ?」


「.....ひ、秘密です」


「え?」


俺は見開きながら速水と明日香さんを見る。

速水と明日香さんは俺に向いてから、気付かれた、と言う。

てへぺろ、としながら、だ。


いや、もうとっくの昔に気付いていたけどな。

俺は苦笑い。

そうしていると速水が何か察した様に言葉を発した。


「.....君の初恋なんだね」


「!?」


「!!!!?」


え!?、と明日香さん。

そして雪さんは、やっぱり、と顎に手を添える。

俺は、そ。そんな事無いよ?、と言ったが。

速水は、いや。隠さなくても良いよ、と向いてくる。


「私は定森さん以上に好きになってもらうから」


「そ、そうです!私も!」


「え!?.....じゃ、じゃあ、私も.....」


初恋だろうが関係無いよ、と俺に向いてくる速水。

俺は赤面しながら3人の美人を見る。

何でこんなに俺に.....、と思う。

そして俺はむず痒くなってしまい。

慌てて話す。


「お前ら。取り敢えず.....俺を恥じらわせるのは止めてくれ」


「だって嫉妬する」


「そうですよ!」


「わ、私も.....うん」


嫉妬するとは言え.....うん。

俺はそのまま身を翻してそのまま逃走した。

その事に、あ!逃げた!、と言ってくる。


でもその中で思う。

今が本当に一番幸せなんだろう、と、だ。

そして.....逃走した。



結論から言ってデートは追跡者によってご破算になるかと思ったが明日香さんと速水は今日は譲ると帰って行った。

それはそうとそれなりに良い事があったと思える。


本当に色々、だ。

俺は思いつつ.....雪さんを見る。

雪さんは俺への好意を表明した事に.....赤面していた。

俺はそんな雪さんを苦笑して見ながら.....公園にて前を見る。


「雪さん。.....俺がどうして好きになったの」


「.....わ、私ですか?.....だって山寺先生、優しいですから」


「.....そうなのか.....」


「はい。.....山寺先生の初恋相手が分かってしまって嫉妬もありますが」


「.....」


初恋、か。

女性にとっては大切な事なんだよな。

思いつつ.....俺は空を見上げる。

すると雪さんが俺を見て来た。


「まあでもそれは置いておいて。本当に今日は有難う御座いました」


「.....大丈夫だよ。雪さん」


「.....それでその。、お礼も兼ねて一緒に.....」


「?」


「い、一緒に私の知っているカフェに行きませんか!」


俺は目をパチクリした。

それから.....雪さんを見る。

雪さんは俺の手をジッと見ていた。

そして赤面する。


「.....また今度.....かな」


「な、何かな。雪さん」


「い、いえ!な、何でも無いです.....」


雪さんは俯く。

俺は?を浮かべながら.....少しだけ赤くなりながら見る。


そして俺達はそんなバカップルの様な姿を見せながら暫くその場に居てから喫茶店に移動を開始した。

こんなに接触したら駄目なのにな。

自分の生徒に、だ。

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