光差す世界

第5話 それはまるで恋人の様な甘さ.....?

速水と夜空に板挟みになってしまった俺は逃げる様にコンビニにやって来た。

そしたら目の前に雪さんが居て.....俺は驚愕する。

何故居るのだろうか、と。

少しだけこの場所は雪さんの家から離れているのでは?

思いながら俺は偶然という運命を感じながら.....雪さんを見る。


「私、このコンビニが好きなんです。だって.....このコンビニは此処だけしか無いですから。スイーツが美味しいんです」


「.....成る程な。確かにスイーツは美味しいよな。このコンビニの特製の」


「ですです」


それは良いんだが。

何だかかなり俺との距離が近い気がする。

そのまるで磁石の様にくっ付く様に、である。

俺は慌てて離れるが詰めて来る。

その事に苦笑いを浮かべながら.....雪さんを見る。


「.....あ、あの」


「.....な、何かな」


「.....こ、今度、スマホにメッセージ飛ばしますね」


「そうだな、うん。そ、そうしてくれ。あまり個人的には関われないかもだけど.....」


雪さんはニコニコしながら俺を見てくる。

何故か顔が赤いが.....。

その、トマトが熟した様に、だ。

俺は首を傾げながらも.....飲み物を買っていく。

そしてお菓子も、だ。


あの狂犬?に渡さなければいけないしな。

夜空に、だ。

じゃ無いと宥める事が出来ないだろう。

思いながら俺は雪さんを見る。


「雪さん。せっかく此処で会ったのも何かの縁だ。何か買ってあげようか」


「.....え!?.....そ、そんな.....良いですよ!」


「良いから。スイーツぐらいなら奢れるから」


「.....じゃ、じゃあ.....お言葉に甘えて。.....その、アイスクリーム.....」


「アハハ。分かった。じゃあそれを注文してからイートインコーナーで食べようか」


顔がぱあっと明るくなる雪さん。

何でこんなにコロコロ変わるのだろうか。

まるでサイコロの様である。

ふったら色々な感じになる、だ。


俺は再び首を傾げながら考えるが.....答えが分からなかった。

そして俺は店員にアイスクリームを、チョコアイスを注文してから持ってからそのまま精算してイートインコーナーに行った。

雪さんが緊張しながら座っている。

少しだけ赤くなりながら、だ。


「.....雪さん。もしかして熱があるのかな?」


「そ、そんな事は無いです。違います」


「.....大丈夫って事?」


「そ、そうですね。アハ、アハハ」


雪さんは髪の毛を弄り出す。

それから雪さんは俺の買ってきたアイスクリームと俺に向いて、これ溶けちゃうので食べても良いですか?、と聞いてきた。

その為に、構わないよ、と返事する。


それから俺もチョコアイスを食べてみる。

やっぱり美味しいなこれ.....。

そして食べながら雪さんを見る。

聞いてみた。


「そうだ。勉強は上手くいってる?」


「はい。全部、山寺先生のお陰で上手くいっています」


「.....そうか。こんな俺でも役に立てるんだな。良かったよ」


「.....山寺先生のお陰です。本当に」


だ、だからその。

山寺先生、担当が変わらないで下さいね。

と念を押された。

俺は、多分担当が変わると面倒だから、という意味なのだろう。

と納得しながら.....雪さんを見る。


「そんなに簡単には変わらないよ。大丈夫だから」


「よ、良かったです」


「担当が変わると面倒だしね。アハハ」


「.....そ、そういう意味じゃ無いです.....」


「え?」


てっきり俺はそういう意味かと思ったのだが。

思いつつ髪の毛を弄る雪さんに向く。

その姿は恋する女の子の様な姿だった。

俺は微笑ましく見る。

すると雪さんはこう聞いてきた。


「あの。山寺先生」


「.....何だい」


「こ、好みの女性はどういう感じですか!」


「ブハァ!!!!!」


え!?好みの女性!?

いきなり凄い事を聞いてくるな!?

天地がひっくり返るぐらいに、だ。


俺は驚愕しながら、い。いや。今は決めれないよ、と答えた。

それから雪さんの為に全力を尽くすだけだよ、とも答える。

大学とかも考えて.....な。


「わ、私は.....それでも好みの女性が知りたいです」


「.....な、何でそんなに拘る?」


「え?.....あ、えっと.....その。山寺先生ってモテそうだなって思いまして!アハ、アハハ!」


「そ、そうか。成る程ね。.....えっとね。俺は.....髪が長くて.....優しい女性だな」


そう。

かつて.....俺を助けてくれたあの女性の様に。

思いながら俺は.....黄昏れる様に少しだけ考える。

そうしていると雪さんに、どうしました?、と聞かれた。

俺は慌てて、な。何でもないよ、と否定する。


「髪の長い女性.....優しい.....人」


「昔から好きなんだ。そういう女性がね」


「.....そ、そうなんですね。.....よ、良かった.....」


「.....え?」


「あ、何でも無いです!」


雪さんは、ア。アイスが美味しいですね!、と恥じらいながら食べる。

俺は目をパチクリしながら、そうだね、と返事をする。

それから暫くして俺のチョコアイスを見始めた。

俺は、食べる?、と聞く。

そうすると雪さんは、は。はい、と返事した。


「じゃあ別のスプーンを貰って.....」


「いえ。良いです。.....山寺先生のスプーンで構いません」


「.....え?でもそれ汚い.....」


「全然そんな事無いです!だ、だから.....食べさせて下さい」


「.....???」


お。おう、と返事しながら俺はそのままチョコアイスを掬ってから差し出す。

すると嬉しそうに髪をかき上げながら.....俺の掬ったチョコアイスを食べる。

ん?でもやった後で申し訳無いけど.....こ、これは。

と俺も赤面した。


「美味しいです」


「そ、そうか.....」


間接キスですよね?

思いながら俺は段々とリンゴの様に真っ赤になる。

しまった!!!!!俺とした事が!

美少女と間接キスとか!?

俺は後頭部をガリガリ掻きまくる。


「嫌だったんじゃないか!?配慮が足りなかった。ごめん」


「.....ぜ、全然そんな事無いですから。美味しかったです」


「.....」


いかん。

目の前に居るのは教え子だぞ。

煩悩を掻き消さなければいけない。

絶対にいけないぞイスカ。

何とかしなければ。


「じゃ、じゃあ私のアイスも食べますか?」


「.....それは俺のスプーンで掬うよ」


「嫌です」


「.....へ?」


気が付くと雪さんは自らのスプーンで俺の口にアイスを無理矢理、押し込んでいた。

俺は驚愕の驚愕で.....真っ赤に顔を染めてから。

雪さん!?、と言葉を発する。

だが雪さんは嫌がる素振りも見せずに、美味しいですか?、と聞いてくる。

俺は段々と熱を感じ始めた。


「.....えへ、えへへ」


「.....雪さん。これはマズイって」


「.....良いんです。私と山寺先生の秘密です」


「.....」


雪さんははにかむ。

これは一体どういうつもりなのか。

俺は思いながら高鳴っている心臓を抑えるのに必死だった。

笑顔を見せてくる雪さんを見ながら.....そうする。

こんなに可愛いんだな、雪さんって。



「じゃあ失礼しますね。山寺先生」


「.....お、おう」


ニコッと笑顔を見せる雪さん。

俺達はコンビニの前で別れてから。

そのまま俺は家に帰宅する。


そして自宅に帰って来てから玄関を開けると夜空が仁王立ちをしたまま俺をジト目で見ていた。

何処行っていたの、的な感じだ。

そして話してきた。


「ど、何処だって良いだろ」


「コンビニだよね。.....何でこんなに遅いの」


「.....それは.....色々あってな」


「.....イスカ.....話しなさい。今なら許してあげてもいいしね」


「嫌.....ですね」


俺は飲み物とお菓子を手渡してから逃走。

それに惑わされながら、あ!待て!、と夜空は言うが隙を見て逃げる。

その途中で口元に手を当てる。


今日は凄い事をしてしまった.....。

まさか雪さんとあんな恋人の様な事を.....申し訳無いな。

美少女の口を汚くしてしまった。

何て謝ったら良いのだろうか.....明日。

困ったもんだな.....。

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