第24話 速水千佳
雪さんを好きな雪さんの親戚の女の子、春香ちゃん。
そして千佳の応援をしたい雪代先輩。
俺はその2人の姿を見ながら.....顎に手を添える。
どうしたら良いのだろうか、と思いながらもあるが。
色々な事を考えるから、だ。
それから今に至っている。
春香さんが家に帰ったのを確認してから.....夜空にコンビニに行くと言い俺は歩いて千佳が勤めているコンビニに行っていた。
そして来店すると.....。
一番に元気な声がした。
「あ、いらっしゃいませ!」
「.....ふぁ!?おま.....!?」
「えへへ。似合います?この制服」
何故か知らないが。
千佳と共に明日香さんが居た。
俺は目を丸くしながら千佳を見る。
どうなっているのだこれは。
すると千佳が、うーん.....何でだろうね?、と火花を明日香さんと散らしていた。
ニヤニヤする明日香さん。
「そうはさせませんよ。速水さん。ウフフ」
「.....なんの事かな?明日香ちゃん」
「この場所に居ればいっすー先生が来ると思ってますね?そんな贅沢は貴方だけで留めておくのは勿体無いから。まあそれ意外に目的はありますが」
「.....」
バチバチと火花を散らしながら。
対決姿勢を見せる2人。
いやいや.....客が困っているじゃないか。
俺は盛大に溜息を吐きながら飲み物を見る。
そうしていると明日香さんがやって来た。
それから指を差す。
「その飲み物、美味しいよ。いっすー先生」
「え?これか?.....確かに新発売って書いてあるけど.....」
「そっちも美味しいよ。イスカ君」
「え?.....あ、うん」
むー!、と火花をまた散らす2人。
いや良いから業務をしてくれよ。
この店の店長困るだろ.....、と考えていると、店員さーん、と声がした。
はーい、と元気はつらつで答える明日香さん。
そして千佳が残された。
「.....そういえば今日は出勤無いんじゃなかったか?お前」
「実はね。.....明日香ちゃんがまだレジ打ちとか慣れてないから来たの」
「あー。成程な。アイツの事なら苦手だろうな。そういうの」
「でもとっても頑張ってくれているよ。本当に」
「.....頑張り屋だからな」
そうしていると、助けてー!速水さん!、と声がした。
見るとレジが詰まっている。
千佳は慌てて俺に手を挙げてから、じゃあね、と言って去って行った。
俺は手を振りながら、全くな、と思いつつ。
飲み物やらお菓子やらを購入する。
そしてレジまで持って行くと。
「いらっしゃいませ」
「.....!?.....き、君は誰?」
何か知らないけど。
黒髪のロングでお淑やかな目をした.....美少女が立っていた。
かなり整った顔立ち。
ま、また美少女か?、と思っていたのだが。
エプロンを身に着けて.....そして胸元に(お手伝い)と書かれている。
店員では無さそうなのだが。
何だこの子?
「この子は山吹美里(やまぶきみさと)ちゃんだよ。いっすー先生」
「いやそれは名前で何となく.....と言うかどういう役柄だ?」
「店長さんの娘さんだよ。アハハ」
「あー。成程」
店長の娘か。
それでこんなお手伝いと書かれているんだな。
思いながら.....美里さんを見る。
しかしかなり.....清楚だ。
何も言わずに前を見ているが。
「私と美里ちゃんは実は仲が良いんだよ!アハハ!」
「.....そんな事はありません」
「明日香さん。美里さん嫌がってるぞ」
いや、違うか。
実際は嫌がっているというか.....赤面している。
されるがままになっているので.....そうだな。
嫌では無いみたいだ。
よく見れば千佳とも仲が良いみたいだし。
「.....明日香さん。友達になってやったんだな」
「そう。アハハ」
「ここの従業員はみんな仲良しだからね」
「.....そうか」
俺は思いながら触れ合う3人を見る。
それから暫く眺めていた。
仲が良いな本当に、だ。
俺は思いつつ.....そいつらに挨拶してコンビニを後にした。
☆
「また飲むヨーグルト買って来てくれたんだ」
「そうだな。お前の為にな」
「もー。でもお金あまり無いでしょう。使わなくて良いよ」
「まあ買うものはこれだけだしな」
確かに金銭面は苦しいが。
これしか買ってない。
のでまだ良いかと思いながら.....笑顔を見る。
夜空の、だ。
すると夜空は、その、と切り出して止まる。
少しだけ?を浮かべたが。
例の件だろうと思い、黙った。
「.....誕生日何が欲しい」
「.....私の誕生日.....?」
「そうだ。それだろ?お前の言いたいの」
「.....そうだけど.....」
でもお兄ちゃんは.....お金無いから。
と控えめに笑みを浮かべる。
俺は、まあそうだけどな。でも貯めているお金が有るから、と答える。
それから俺は夜空に向く。
「.....まあ誕生日ぐらい良いんじゃないか?」
「まあ.....それだったら.....」
「何が欲しい?」
「.....私.....そうだね。日記が欲しい」
「.....え?」
何で日記なんだ?
俺は目を丸くしながら.....夜空を見る。
夜空は、うん。お兄ちゃんとの記録を付けたいから、と答えた。
俺はそれも驚く。
「日記付けるのも良いかなって思った。好きな人との記録が見れるから」
「.....お前.....」
「だから一緒に何か思い出作りをしよう。お兄ちゃん」
「.....分かったよ。じゃあ一緒にやっていこうか。思い出を紡いでいこう」
「だね」
それから笑みを浮かべる夜空。
俺はそんな夜空を見つつ.....夜空の頭に手を添える。
するとまた叩かれた。
髪の毛が乱れるから、と、だ。
だけど嫌な感じは見せなかった。
☆
それから夕方になると。
俺の元に明日香さんが家にやって来た。
そんな顔を見ながら首を傾げる。
何だか穏やかな顔で俺を見てきている。
「私、働き始めたのは.....実は理由があるんだ」
「.....そうなのか?どういう理由だ?」
「実は.....いっすー先生に贈り物をしたいと思っているの」
「.....え?」
夜空も驚きながら明日香さんを見る。
明日香さんは頬を赤くしながら俺を見る。
それから、エヘヘ、と頬を掻く。
そして.....俺にはにかんだ。
「.....私、お世話になっているから。いっすー先生に。だからね.....贈りたいの」
「.....そうなのか」
「私は心底.....愛しているから。いっすー先生を」
「.....そ、そうか」
「.....」
眉を明日香さんに顰める夜空。
だけど今回は何か諦めた様に苦笑する。
そして明日香さんに向いた。
それから.....明日香、と声を掛ける。
明日香さんは、何でしょう師匠、と声を発した。
「どんな贈り物をしたいの?」
「.....私?.....そうだね.....例えばいっすー先生が使っている物とか」
「そうなんだ」
「.....だから師匠。聞きたい事があります」
「.....え?何を聞きたいの」
目を丸くする夜空。
そんな顔に対して、私、師匠にいっすー先生の好きな物を聞きたいんです、と真剣な顔をする明日香さん。
俺は明日香さんを驚きながら見る。
それは、と思ったのだ。
夜空も驚きながら見ていたが真剣な顔でこんな事を話した。
「もし嘘だったらどうするの?私の言った事が」
「.....それは無いです。師匠は.....優しいから。.....師匠だから」
「.....!.....そ、そう.....そんな直球に.....」
いきなりの言葉に。
驚愕しながら返事をする夜空。
そして.....頬を恥ずかしそうに掻いた。
だから教えて下さいね、と笑顔を見せてから明日香さんは俺を見てくる。
俺はその姿を苦笑しつつ.....見た。
明日香さんはそれなりにニコッとしている。
そして恥ずかしがりながら話した。
「.....いっすー先生。.....是非是非プレゼント待っててね」
「ほ、ほどほどにな。お前の事だからやり過ぎる可能性有るから」
「うん。アハハ」
まるで女神の様に柔和になる明日香さん。
母性が有る感じだな。
俺は頬を掻いた。
兄妹似ているもんだな、全く。
そんな感じで思いつつ、だ。
「でもやはり似てるね。いっすー先生。兄妹」
「.....ま、まあな」
「似ているかな」
「.....羨ましい。師匠が。.....私も一緒になりたいな。兄妹って事で」
「それなりに大変だぞ。兄妹ってのは」
そうなんですか?、と言う明日香さん。
だけどそれでも羨ましい、と回答してくる。
俺は夜空を見ながら苦笑した。
それから.....明日香さんを見つめる。
「明日香さん。ゲームでもしていく?」
「.....いえ。今日はそれだけでして。大丈夫です。また来ますよー」
「.....じゃあもう帰るの?」
「いえ。.....師匠。いっすー先生の事を教えて下さい」
あ、そうだったね。
と思い出した様にする夜空。
それから俺を見てくる。
出て行って下され、的な感じだ。
俺は苦笑いを浮かべながらそのまま出て行く。
「終わったら呼んでくれ」
「有難う。お兄ちゃん」
「ありがと。いっすー先生」
そして俺は自室に向かう。
これは良いチャンスかもな。
今度、雪さんの小テストをしてみよう。
その為の.....準備をしよう。
時間空いたしな。
☆
「ここをこうして.....よし。良い感じだ」
そんな感じで作業をしながら。
本棚から参考書などを参照していると。
あまり見ない埃被っていた参考書の奥の方に.....何か有った。
本棚の小さい隠し扉みたいな所に。
俺も忘れている様な場所に、だ。
何だこれ?、と思いながら引っ張り出す。
それは.....え?
「.....?」
それは本だった。
まるで見つからない様にする為に奥にぶち込んあった様な。
そんな薄い本。
俺は首を傾げてページを広げると。
写真らしき物が落ちた。
「.....?.....何だこれ」
ネガだな。
かなり昔の話って事か。
光に透かすと.....かなり古い印象を受ける。
俺は.....そのネガに何か貼られているのに気が付いた。
「.....(速水千佳ちゃんと一緒に).....え.....え?え.....」
固まった。
ちょっと待てマジに、どう、なってる?!
俺は一気に青ざめる。
そして.....俺は薄い本を確認する。
そこに文章が書かれてあった。
拙い文章でこの様に、だ。
『速水千佳ちゃんは幼稚園の女の子!僕の好きな人!』
「.....は?.....え.....え?」
ちょっと待ってくれ。
マジに頭が混乱してきた。
俺は膝から崩れ落ちる。
何がどうなって.....いるのだ。
こんな事があるのか!?
何でいまの今までこれを気が付かなかった!?
千佳に昔会っている?!
「.....嘘だろオイ。こんなもの書いた覚えは.....」
だけど現にここに有るって事は俺が書いたとしか思えない。
俺は冊子を読む。
どうやらこれは.....交換日記の様だった。
俺は直ぐに読み進める。
そして.....千佳の特徴がかなり描かれていた。
「.....じゃあさっきの写真は.....」
幼い頃の千佳!?
何で母さんは.....いや。
ちょっと待て、いや。でも。
母さんは千佳に会ってない。
では千佳は?
もしかしたら幼い頃の虐待で.....記憶が失くしている可能性がある。
背中に傷も有ったし.....だけど。
だけど!
「そんな馬鹿な.....」
俺は唖然とした。
そして直ぐに千佳に連絡する。
それから電話に千佳が直ぐに出た。
俺はこの事を話す。
「千佳。俺達って.....昔会ったか?どこかで」
『.....え?いきなり何を言い出すの。そんな事無いよ?』
「.....いや。その。俺、お前と幼い頃に会っている可能性がある。何でかって言われたら.....交換日記をお前としているんだ」
『.....え』
携帯を落とす音がした。
そして持ち上げる音がする。
俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
それから.....千佳の答えを待つ。
すると小さくこの様に声がした。
『もし君がその男の子なら私のヘアピンを持ってない?私ねその男の子とは確かに知り合いなんだけど顔も知らないから.....あまり覚えてないの。だけど別れ際に.....さよならの証でヘアピンを渡したんだけど.....』
「それってもしかしてイチゴのヘアピンか。床に落ちてた。ネガと一緒に古ぼけた小さいピンク色のが」
『.....そ、そうだけど.....』
「.....」
『.....嘘.....だよね?』
何だこれは。
この胸の高鳴りは。
思いながら.....俺は心臓に手を添える。
明らかに.....俺の心臓がおかしい。
何か起こっている.....そんな気がした。
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