持続的なメンヘラ供給記

人は絶えず“かけがえのない存在”を求める。主人公もまた、人であるが故に例外なくその定義に当てはまってしまう。哀しいことに。
彼らは「メンヘラ」と世間では噂される。別段、その表現を否定するほど、レッテルが貼られていることに当人は気にしていない。
むしろ、メンヘラではないことを示すほどの気力もない。自分はどういう存在なのかを、世間の人々はネットや口々に言いたがるけれど、今日を生き延びるのに精一杯な彼らは、遺書を片手に、せいぜい決まりきった前口上を述べるほかに、世間に食い入る手段がない。

そんな彼らを通して、読者は元気を吸い取ることは難しい。
もしかすると、気分が下がるかもしれない。
でも、ほんの少し、彼らに付き合って、次なる話へと進んでみようとする事もあってもいいはずだ。

そうするうちに、た…続きを読む