概要
彼を待っていたのは、アフタヌーンティでもなく、クィーンズイングリッシュでもなく、アンダーグラウンドな同居人たちが繰り広げる、奇妙奇天烈な共同生活だった!
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!見えるだろ、誤魔化すなよ
ああ、この話、好きすぎる。イギリス、テクノ、ドラッグ、アンダーグラウンド…… すべての要素と描写がカッコ良くて憧れてしまう。約3万字という短い尺の中で、まさしくダンスミュージックのように止まらない刺激的なイマジネーションの連打。モイラをはじめ、生々としていて息遣いや肌の温度を感じさせる魅力的なキャラクターたち。
そして、テクノ。
僕の頭の中ではMike HuckabyのThe Tresor Trackが脳内BGMとしてずっとリピートされていました。いやそれだけじゃない。ミニマルからハードコア、ノイズやエレクトロニカに至るまで様々なリズムが止めどなく紡がれてゆく感覚。たまんねぇ。
なんというか…続きを読む - ★★★ Excellent!!!甘くて苦くて切ない青春・友情(LOVE)ストーリー
ウブで真面目な日本人留学生の少年がいきなりドラッグにまみれるアウトローたちとの生活に放り込まれ、取っ掛かりから普通の日本人な自分はムネチカの保護者な視線でビビるやらハラハラするやら戸惑った(笑)
ロンドンのストリートやスクアットパーティー、ドラッグでラリッてる描写は秀逸でリアリティがあり、この作者はロンドンに住んでるかその経験があり、そんでイケナイ遊びにも手を出してたのではと思ってしまうほど。他の方のレビューで全て想像で描写してるとあり、ただただ驚くばかり。
気が付けばどっぷりその世界に入り込み、ムネチカの目線で刹那的で危うくてキュートな魅力のモイラに釘付けになり恋している。
そして途中から…続きを読む - ★★ Very Good!!ご都合主義なんて無い世界。だからこそ苦しく、愛おしい――。
全話を読み終えての感想です!
私、普段のレビューのテンプレが、
①総評→②「こんな人におすすめ」→③良かった点→④気になった点(あれば)
という感じなのですが、本作については②~④を上手く書ける自信がなく、今回は「結局何が言いたいの?」的な感想になってしまうかもしれませんが……。書かせていただきたいと思います。
私、大槻ケンヂさんの小説やらエッセイが大好きでして。
大槻ケンヂさんの作品って、ゴリゴリにアングラで、多分トびながら書いてるんじゃないかなってくらい意味不明な時があるんですけど、何故か青春のきらめきみたいなものがあって、ぎゅっと胸が締め付けられるという……。
本作も、読み…続きを読む - ★★★ Excellent!!!たとえまるごと理解できなくたって、魂の震えを分け合うことはできる
「恋愛関係のなかで愛し、愛されること」が人生における至上の価値だという考え方や、相手もまた自分を”愛している”のなら、同じ『愛のかたち』を返してくれるものだ、という期待がスタンダードなものとされる世の中はときに息苦しいですが、
鋳型のカテゴリに当てはまらない、脆くもしたたかに生きるモイラたちとの生活から、いろんな愛情のかたち、他人との繋がりの在り方を実感できる、なんだか救われる心地をくれる物語です。
そんなテーマを重苦しくなく、読むだけでトリップしてしまいそうなリアルなドラッグ描写やDJパーティの熱狂感を交え、甘酸っぱい青春とともに楽しく描いています。
特に、二日ぶっ続けのパーティ後に仲間…続きを読む