「えほん」

『絵本』それは小さい頃、誰もが読んでもらったことだろう。

 成長し『ひらがな』や『カタカナ』が読めるようになるとつたないながら、下の子に読んであげたり、時には親に音読したりする。

 簡単に兄貴分、姉貴分になれる便利なツールだと私は思う。大人が読んでも泣ける感動的な『絵本』も存在し、『絵本』には魅力的な部分が数多く存在する。




 さて、私は絵本の朗読会にを来ている。朗読している小さい女の子は、つたないながらも上手に読めている。明るいニコニコ顔で、絵本を楽しみながら読んでいることが伝わってくる。内容はよくある話。けれど、朗読は読んでいる人の感情まで楽しむもの。あの子の笑顔でこちらも暖かい気持ちになれる。




 もうすぐ、絵本も終わりかというところで絵本を読む子の声が止まる。聞き入っていた私は、何事かと思い、目を開く。すると、保育園の先生だろうか、駆け寄ってこそこそ話している。すると、先生が後ろに控えると続きが始まった。




 その後、何人かの子供たちのが朗読し、朗読会は終わりを告げた。割れんばかりではない、けれど、確かに朗読会は暖かい拍手で包まれた。




 私は娘を迎えに楽屋へ行くと、子供が一人ひどく泣いていた。容姿は8歳くらい、さっきの女の子だ。

「あーちゃんだぁけㇶィク、全部読めんかったぁぁぁ。うゎーん」

 きっと、この子は将来大成するだろうな。そう思った瞬間だった。



「お母さん、ちょっと待ってね !(^^)!」

 すると娘は泣いている子に駆け寄っていくと

「あーちゃんのほんよみ、すごーくよかったよ。先生がね言ってたよ(≧▽≦)。まーちゃんもね、すごいと思った!!(^^)!」


 

 娘の周りに子供たちが寄っていき、みんなで泣いている子を励ましあい、最後に泣き止むどころか、笑顔になって帰っていった。



 わが娘ながら、本当に良い子だなぁと、思わずにいられなかった。

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