「おかし」

 私は妹と2人で買い物に来ている。年の離れた妹は年の割に駄々をこねたりしない。おとなしいけれどパパの前だと甘えん坊になる。姉である私の前でも、もう少し甘えてくれてもいいじゃない。そう思って買い物に連れてきたのだ。



お菓子コーナーの欄には子供向けのお菓子から、大人の~といったお菓子も並んでいる。けれど、何も取ろうとしない。

「ねぇ、どうしたの?」


「パパが好きなお菓子がないの。」

なるほど。妹はパパと一緒に食べたいらしい。じゃあ、おつまみコーナーかな。

「それはね。こっちにあるよ。」



 おつまみコーナーにはパパがいつも食べているものが整然と並べられている。妹は家に常備されている柿の種を取った。



「それでいいの?」と優しく尋ねる。



「うん。これがいいの。お姉ちゃんも食べようね。」


無愛想な顔が、満面の笑みを浮かべていた。


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