「コーヒー」

「お父さんのやつ飲みたい!(^^)!」

 朝の支度をあらかた済ませ、朝食の準備をしている時だった。

「いいのか?美味しくないぞ。」



 大抵の子供はと大人のこういった言葉を信用できない。

「そんなことないもん。お父しゃんだけ、まいにちのんでるし、ぜーったい、おいしいもん。」



 娘も例に漏れることなく、信用されなかった。


「よーし、分かった。じゃあ、どうぞ。」

 娘に飲みかけのコーヒーを一口飲ませる。子供はまだコーヒー独特の香りに対して抵抗できない。娘が泣いたらどうしよう…



 いまかいまかと娘を観察していると

 喉を鳴らす音が続いている。


 …………ん?



「おいしいしいよ!(^^)!」


「えっ‼」

 父親らしい節度なんか保っていられなかった。驚愕のあまり実の娘に妻と同等の恐怖を抱いた。



 コーヒーを飲む児童・・・いいのか?絵面えずらてきにまずいのでは……いやまて。そもそもあまい?まさか味覚障害にでも……



「あー、それ多分私がこのに用意したのよ。」

 妻がそう声をかけてきた。



「昨日この、『お父さんの飲みたい』って言ってたから、とびっきり甘く作った分を用意したの。いつもと違う味だったのに気づかなかったの?」

 この未来さきを読む恐ろしい妻に改めて驚愕した。



「はい。あなたの分」

気になることは何もない。むしろ正気か?という目でこちらをみつめている。



 妻に手渡されたコーヒーを飲む。

「苦い・・・」

おもわず漏れた本音だった…






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