前のエピソード――「寄り道」

　本格的な雪合戦をやったことはあるだろうか？私は幼い頃に経験がある。ルールは簡単。先に相手チーム全滅させるか、相手陣地にあるフラッグを取るかである。フィールドはバレーボールコートよりも広いくらい。当時の私は小学校低学年。子供も大人もいるチームで行われた。チームは最大6人。間にある壁のようなものを上手く使って相手陣地を攻める。私はチームの中でフラッグを取りに行く役割を与えられた。

　大人達は私のことなんかお構いなしに、全力で雪合戦を楽しんでいた。小学生の私にはそう映った。臆病だった私はその大きな選手（プレイヤー）たちを本気で怖がった。普段ニコニコしているその裏に何があるのかと…

　さて、私はその懐かしいイベントに参加している。娘も一緒だ。当時の私より幼い6才。さすがに豪華景品に血走った大人がいる中、娘を参加させるのもどうかと思ったのだが、現在（いま）は10才以下の部門もある。子供会のみんなで参加した。娘がいるチーム最年長は10才の女の子。お手並み拝見……。初戦は見事勝利した。

なんと娘がフラッグを見事に取っていた。

　続いて決勝戦相手は…男の子ばかりのチームだ。娘より小さい子はいない。娘頑張れ……

　なんと勝ってしまったではないか。娘がフラッグをとって。駆け寄ってくる娘を抱き上げると背中に雪がついていなかった。もちろん娘はいつもの通り。おかしいなと周囲と比べてみる。

「あっ」と声を上げて気づいてしまった。

その小さなプレイヤー達に心の中で感謝した。