「こうしゅう」

「お父さん口くさぁぁい」

「Σ(゚д゚lll)ガーン」

 娘に言われて傷つく言葉TOP3に入るだろう。

 もちろん1位は

「お父さんなんて嫌い」

 だけど、そんなことを言う年齢ではないだろう。

「あなた、昨日ラーメン行ってきたでしょ。ニンニク臭いよ。」

 妻にまで言われればもう認めるしかない。



 昨日は会社で部下が取引先ともめた、その後始末に追われていた。その部下にはさんざん苦労させているので、たまには上司としての面目を保たなければならないと思った。いつも以上に心身ともに疲労がたまり、久方ぶりにその後輩を連れて行きつけのラーメン屋に行ったのだ。



「○○さん。今回は本当にご迷惑をお掛けしました。」

「いやいや、確かに××にも責任はある。だが、これはお前だけの不備じゃない。それも分かってる。だから気にしすぎるな!今日は俺のおごりだ。ここの大将が作るラーメンはうまいぞー。チャーハンも食え。これも絶品だから!」



 努めて笑顔で振舞う。部下に気を使わせないために。私より下の世代は何事も自分の所為にしたがる。これは悪いことじゃないが、その責任の取り方が重い。すぐに辞めようとする。テレビドラマの影響だろうか?最近は責任の取り方という項目がどうも厳しすぎると思う。それが続くのはよくないし、仕事をしていればミスの1つや2つあるものだ。でないと、それはただの機械と変わらないと私は思う。だから部下の一人一人を私は大事にしたい。



「○○さん。今日はありがとうございました。この恩は忘れません。いつか必ず返します。」

「あぁ。そんなに気負い過ぎるのもよくないが・・・楽しみにしておく。」

「はい!明日からもよろしくお願いします!!」



部下の前ではあんなにかっこつけられるのに、娘や妻の前ではかっこつかないなぁ。

一番かっこつけたい相手ってのは、そう簡単にかっこつけさせてくれないらしい。

「よーし、今日は遊園地でもいくか!」

「やったぁぁー(≧▽≦)」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る