メガトン開眼（リケジョを目差すメガネ豚奮闘記）

　雅子の愛称『メガトン』は、『メガネ豚』の略だ。メガネを掛けていない子供の頃は『白豚』と呼ばれていた。子豚さんのように可愛かったのだろう。
「ママさんのように美人で頭の良い子に生まれたかったな」と、いつもつぶやくメガトンは、体形が『ノン、キュ、ボン』なのも悩みだ。
　大きな黒ぶちのメガネのまん丸の大きな顔のメガトンは、「世の中で2番目におもしろいのは数学。１番目は雅子」と、母から常々聞かされて育った。
　突然その母が重病となった。メガトンがオランダ坂女子高校三年生の夏のことだ。文科系への大学進学を漠然と考えていたメガトンは、数Ⅲや物理を全く勉強していない。その不利を知りながら、数学科志望に鞍替えする。そして、東京にある『鵜の木学園』受験を決意する。鵜の木学園は、多摩川ごしに富士山が見える母の…続きを読む