夕霧のキセキ

 突如として始まったお客さんからオススメの学園ラブコメ小説を紹介してもらう企画。

 最初に「はい」と声を出したのは真面目そうな雰囲気の青年だった。

 大きく右手を挙げ、アピールする若い男に、椎葉流紀は視線を向ける。


「えっと、初めて見る顔ですね。お名前は?」

「三上です」

「では、三上さん。オススメしたい作品をどうぞ♪」


「はい。ボクがオススメしたい作品は、夕霧のキセキ!」

 青年の口から聞こえたタイトルをスマホで入力すると、その作品はすぐに見つかった。



夕霧のキセキ / @nibosu


https://kakuyomu.jp/works/1177354054896481969


1日だけの小さな奇跡。幼馴染みとの恋の軌跡。


そんな素敵なキャッチコピーに導かれた流紀は本編に目を通した。

約7千文字の短編小説を5分ほどで読み終わった彼女が息を吐く。


「平凡な中学生たちの青春グラフィティという印象の物語でした。同じ出来事を違う視点で描く構成が見どころで、特に第2話のヒロイン視点の心理描写が上手いと思います、第2話を読んでから、第1話を読むとまた違った景色が見えてくるでしょう。三上さん。ありがとうございました」


 三上と呼ばれる青年と顔を合わせてコメントしてから、3分後、今度は別の男が手を挙げた。


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