名作からはじまる残念美少女シアター

 黒板の右端に書かれた「羅生門」の文字が、日直によって消されていくのを、椎葉流紀は自分の席で見ていた。それから、机の上に1冊の本を置き、タイトルを眺める。



 名作からはじまる残念美少女シアター/和希

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054889672161


 最近話題になっている学園ラブコメ小説。帯には、「不朽の名作が、学園ラブコメに変わる。」と書かれていて、気になったから購入したのだった。



 四方山高校二年、南雲神音は昨年の文化祭で事件を起こし、演劇部を追い出されてしまう。


 神音はすぐさま『シアタークラブ』なる同好会を設立。事件の巻き添えをくって同じく退部させられた北見真白と、俺、東城名月を引きこんだ。


 そして、演劇部を超える劇を作り上げようと闘志を燃やしていた。


 今、神音という名の暴君の手によって、新たな舞台の幕が上がる――。



 こんなあらすじを読んでから、目次を開くと、気になる章タイトルが出てくる。



 第一章 『ごんぎつね』からはじまる魔法少女大戦



 ごんぎつねといえば、小学校の国語の授業で読んだ誰もが知る名作。どうやら、あの名作を学園ラブコメにしようという話らしいと理解したところで、彼女はページを捲った。


 不朽の名作を学園ラブコメにアレンジして、演じるという話なのだが、ページが進むごとに雲行きが怪しくなっていく。

 登場人物同士の掛け合いも面白く、名作を学園ラブコメにするアイデアも興味深い。


 最近話題になっているという噂も納得できると流紀が思うと、ちょうど、予鈴が鳴り響いた。

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