「私、思うんだけどさぁ」

「私、思うんだけどさぁ」


 次の授業が始まるまでの休憩時間、隣の席に座る学級委員長からの問いかけに、倉雲奈央は首を傾げた。


「いいんちょ、何か言いたいことあるのか?」

「倉雲くんって、心美ちゃんのこと好きだよね?」

「いきなり、何を言い出すんだ!」と慌てるクラスメイトが、頬を火照らせながら、学級委員長から視線を逸らす。

 その頭には、別のクラスに所属している自称資産家令嬢の笑顔が浮かんでいた。


 そんな彼をからかうように笑った流紀が、彼の机の上に1冊の本を置く。


「私、思うんだけどさぁ」/阿井上夫


 https://kakuyomu.jp/works/1177354054892254195


「この本に影響されて、気になったことを聞いてみたくなっただけだよ。『可愛鬱陶かわうっとうしい』というカテゴリーがあれば、間違いなくトップクラスの実力。そんなキャッチコピーの通りのヒロインが登場する学園ラブコメ短編小説」


「そういえば、俺に学園ラブコメ小説紹介してくるの久しぶりだな」

記憶を手繰り寄せながら尋ねるクラスメイトに対し、流紀は首を縦に動かす。

「そういえば、そうだったね。今回ご紹介する学園ラブコメ短編小説は、ヒロインの素朴な疑問から始まる会話劇。それが勉強になるの。読むことで知識も得られて、少し賢くなれる。そんな学園ラブコメです!」

「なんか面白そうだな」と興味を示す隣の席の男子と顔を合わせたこのクラスの学級委員長は、楽しそうに笑った。

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