美少女ギャルの罰ゲーム告白見抜いて許したら絡まれるようになった件

「おはよう。いいんちょが紹介したweb小説、すごくおもしろかった。特定するの大変だったけどな!」


 ある日の朝、クラスメイトの丸坊主野球部員の挨拶に、椎名真紀は首を傾げた。

「おはよう。松浦くんにweb小説を紹介した記憶がないんだけど?」

 腑に落ちない表情の学級委員長に対して、松浦はスポーツバックのチャックを開け、1冊の雑誌を取り出す。

 そして、その雑誌を流紀の机の上にポンと置いた。

 月刊梅書房と書かれたその雑誌の表紙には、東野吹雪 独占インタビューの文字がある。


「珍しいね。ウチのブックカフェでも年間購読してる小説の専門誌を、松浦くんが買うなんて……」

「当たり前だろ。あの人気アイドル、東野吹雪のインタビューが掲載されてる雑誌だからな。フラゲしてやったぜ!」

 胸を張る野球部員のクラスメイトを見て、流紀はジド目になる。

「もしかして、まだ疑ってるの? 私の正体が、人気アイドルの東野吹雪だって」

「そうだな。顔と声が同じだから、間違いない。推しの顔を見間違えるわけないんだ!」


 


「……そういえば、特定って何?」

 追求をスルーした学級委員長の問いかけを聞き、松浦は机の上に置いた雑誌に右手で触れながら、頷く。


「ああ。この雑誌のインタビュー記事で吹雪ちゃんが、最近ハマってるweb小説について語ってたんだ。迷惑になるかもしれないから、タイトルは出せないけど、特に接点のないにも関わらず告白してきた美人ギャルとそれが罰ゲームであることを見抜いた主人公の交際を描くweb連載学園ラブコメが面白かった。青春してる感じが伝わってくるストーリー展開と王道なキャラ描写が魅力的って吹雪ちゃんが言ってたんだ。それで、この雑誌をフラゲした東野吹雪ファンが、この小説のことではないかと一晩で特定したんだ」


 ペラペラと事情を話す松浦は、制服のズボンのポケットからスマホを取り出し、流紀に見せた。

 その画面には、あの人気アイドルのオススメ作品らしいweb小説のタイトルが表示されている。


美少女ギャルの罰ゲーム告白見抜いて許したら絡まれるようになった件/夜依


https://kakuyomu.jp/works/1177354054896266471


罰ゲームと見抜いたら、平穏な日常の色が変わりだした!



「なるほど、人気急上昇中みたいだね。昼休みに読んでみようかな」

 そう呟いた流紀は、制服のポケットの中にあったメモ帳を取り出した。

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