オムニバース 第四話用語解説

■解説

大企業アマルガムオルタの基幹プロジェクトを離脱した神経工学者アリアン・レクターのもとに筆頭管理官が訪れる。そのときの彼女はまだプロジェクト参画による社会性保障が弟との離別処置を解消してくれると信じていた。一転追われる身となったアリアンは弟との関係を取り戻すためアマルガムオルタに牙を剥くのだが……


■人名

【アリアン・レクター】

神経工学の権威あるいは異端者。二六歳。レイチェル・ローゼンの麾下第四世代神経接続VRクォンタムスケープの開発に関わる。優性体ラボのハイブリッドとして生まれラボの解体後遺伝子素材の多くを共有する「弟」シリウスと共にレクター家に引き取られた。シリウスへの依存が嗜虐性として発露し同居と隔離を繰り返している。

【シリウス・レクター】

優性体ラボのハイブリッドとして誕生。二一歳。アリアンは遺伝子素材の多くを共有する「姉」。自らも優秀な知能を有しながら自らを姉の精神安定剤と任じている。

【ヴォイド】

情報災禍以前に活躍した在野の開発者。オムニスケープの開発に関わっていたとされるが公式な記録はない。ヴォイドの残したテナントのほとんどはアマルガムオルタが保有している。

【クイーン/シルバークイーン】

数年前にドライスケープを騒がせたメタフレーム。数多のワールドフレームを破壊した恒久指名手配犯。初代ハンマーガールと死闘を繰り広げた。

【ヒメ/チヅル/蛸地蔵ちづる】

少々頭のネジがゆるんだ自称名探偵。婚活中。

【ハンマーガール(初代)】

伝説的なメタフレーム。ヒーローを自称するヴィジランテだが行動が破壊的に過ぎた。数多のワールドフレームに壊滅的な損害を与えたため恒久指名手配犯となっている。

【タキシード】

燕尾姿のヴィジランテ。何故か赤い薔薇を投げる。

【ムーンシャドウ】

カンドゥーラ姿のヴィジランテ。何故か白い薔薇を投げる。

【シルバービースト】

身体能力が極端に高い新進気鋭のヴィジランテ。補完域を越えた反射速度はフレームが対応する限りドライスケープ最速を誇る。慣性設定を逆手に取った速度由来の怪力を持つ。物腰の柔らかい美形の青年で男女問わず人気が高い。


■地名

【ムセイオン】

複数のサーバが運営協定を結んだ学研都市型ワールドフレーム。複数のラボグリッドが乗り入れており研究室のターミナルとなっている。アカシア通りは区画名で学生街具現化実験場のひとつ。


■用語

【アマルガムオルタ】

アマルガムコネクトの筆頭企業。二一四八年、情報災禍直後の数多の非難の中リリースした第三世代神経接続VRオムニスケープの奇跡的な成功により内外に確固たる地位を得た。現在ネットワーク統括府の管理下にあるドライスケープも実質的な権勢はアマルガムオルタが掌握。当時開発統括にあったレイチェル・ローゼンが筆頭管理官として君臨している。

【完全人格ダウンロード】

アマルガムオルタ、レイチェル・ローゼンの目指す次世代神経接続VRクォンタムスケープの最重点機能。肉体に依存しない死を超越した人の改革を謳う。開発に再三の障壁がありインパクト重視と誹られていたが技術面では既に着地点に到達している。

【情報災禍】

二一四七年末の大震災に起因する情報障害の総称。神経接続による障害が大量に発生した。意識障害約七〇〇〇名うち何らかの後遺症発症約三〇〇〇名。永続的な意識喪失患者三八二名。彼らは帰還障害と呼ばれている。

【マスク】

フレームのアクセサリ。頭部を覆うもの目許を覆うものなどさまざま。スキンの一種で目を覆っていても視界に問題はない。本来フレームはそれ自体匿名性を担保さており顔を隠す必要はないがヴィジランテの象徴として身に着ける者も多い。ヒーローの矜持でもある。

【緊急退避】

正しい手順を踏まないフレームチェンバーへの転移。またはワールドフレームからの離脱。データの保全、神経接続の安全性に保証がつかない。

【緊急離脱】

正しい手順を踏まないゲートアウト。物理的な断線に等しい行為。当然データの保全や神経接続の安全性には保証がつかない。次回の神経接続には接続診断の受診が必要となる。

【フレームチェンバー】

フレームのメンテナンスやストレージの整理を行うパーソナルスペース。ワークスペースや倉庫として活用される基本的なVR空間。神経接続の負担が少ない最適の引き篭もり空間。

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