オムニバース 第三話用語解説

■解説

ヘブンサーキットでしがない探偵業を営むチャリオットのもとにニュートの少女が訪れた。生意気で、どこか見覚えのあるその少女は彼に自分を養えと迫る。少女の身元を探るチャリオットはそこにVR世界を支配する大企業アマルガムオルタが関わっていることを知るのだが……


■人名

【チャリオット】

ヘブンサーキットを拠点にする探偵。三二歳。互助組織キリフィッシュの構成員を経て無職になりシステムメンテナンス業の傍らなし崩しで探偵を営んでいる。中途半端な骨董品収集と旧時代の映画鑑賞が趣味。

【レイν】

フィル・ローゼンが制作した最後の一式人格。十二歳の少女の形態をしたニュート。姪のレイチェル・ローゼンをベースにしているが本人曰く「あんなオバサンと一緒にしないで」。無意識にチャリオットの庇護欲を掻き立てる行動が擦り込まれている。

【マスター】

ヘブンサーキット保護区画で喫茶店アムネジアを営むニュートの愛称。中立地帯ならではの密談、密約の場を仕切っており自らの短期記憶を消去することができる。

【フィル・ローゼン】

稀代のAI工学者であり一式人格製造の第一人者。彼の手掛けた疑似人格は値の付けようがないと言われる。レイチェル・ローゼンの叔父でありチャリオットの友人。最後の弟子は朱川臣。死亡の際、自動遺言執行でレイνをチャリオットに譲渡した。

【レイチェル・ローゼン】

アマルガムオルタの筆頭管理官。オムニスケープの開発統括として一躍時の人になりトップに上り詰めた。完全な人格ダウンロードを実現する第四世代神経接続VRクォンタムスケープを推進している。

【リー】

ヘブンサーキットの裏社会で疑似人格の改修を手掛けていた青年。デアボリカの襲撃で工房を失った際に脚抜けした。

【シニスター】

ヘブンサーキットの列強互助組織(ヤクザ)。娼婦から暗殺者まで非合法ニュートの売買ルートを寡占する。

【デアボリカ】

ヘブンサーキットを中心に活動する神出鬼没のメタフレーム。ジャック・ザ・リッパーを気取る娼婦殺しのサイコ。独自のルールを持つヴィジランテ。

【アレックス・ソーン】

旧アマルガムアークの開発者。ギルネットと呼ばれる大規模捕獲システムを構築しアルビオン殲滅戦の原因を引き起こした。犠牲者の総数は不明。三二七名のハッカーを心神喪失状態に追い込み六八三体のニュートが破壊された。内外の糾弾の末に失踪。逃走先の片田舎で神経接続事故により死亡した。

【ガンズロウ】

ヘブンサーキットを中心に活動するもうひとつの伝説。火薬式銃器の再現にこだわるマニアックなメタフレーム。懲りすぎたディテールにストレージを圧迫されており装弾のリロードを余儀なくされている。独自のルールを持つヴィジランテだが矜持に沿う限りは互助組織の客員にもなる。


■地名

【ヘブンサーキット】

多層構造の巨大都市。実験的運用を盾に秩序と無秩序が切り分けられたワールドフレーム。ヤクザさえ信号を守る保護区画、ドライスケープのあらゆる快楽を詰め込んだ歓楽街、デジタル-フィジカル世界の究極と終局を追求する開発区画で構成されている。

【歓楽街】

ヘブンサーキットの中心。互助組織と呼ばれる複数の組が鎬を削り永遠の深夜に武装フレームが暗躍する。中でもガンズロウとデアボリカの二人は災厄の名を異名を持つ。畏怖されているが、それぞれに異なる倫理観を持つヴィジランテでもある。


■用語

【オーバーサイト】

ウエットスケープにVR空間を重ねて視覚投影した状態。AR。半神経接続状態にあり輪郭を感触として知覚することができる。直接的には干渉できない。あくまで簡易な感覚置換であり投影に近すぎるとめり込んでしまう。

【デジットサイト】

ドライスケープに現実空間を重ねて表示した状態。多視点カメラで映像をデジタイズし同スケールで配置している。感触や重量、匂いなどは自動的に設定される。直接的には干渉できず触れても現実世界に影響を及ぼすことはない。

【サークルクレジット】

絶対的権利保証。またはその認証機関。浮浪者の利権さえ大統領以上に保護すると謳う超国家的サービス。勿論それなりの費用は必要となる。

【ボット】

自律型作業機械の全般を指す。中央制御型の複数体が主流。

【オートマタ】

専用AIを搭載した自立型ロボット。基本的には二式人格に相当する自我のない機械。

【パペット】

人やニュートが操作するウエットスケープ上の義体。多くは人型の対人サービス用ロボット。一式人格のパペットは非常に高価なワンオフ機。暴力、性的奉仕のための違法パペットも存在する。近年ではドライスケープの操作型フレームもそう呼ばれる。

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