我如何なる五胡十六国作品に興ぜし哉
五胡十六国の面白い作品?
あるよ。劉裕とか漢を襲うとかどう?
はい宣伝終了。
さて。
前回でも書いたとおり、
あなたの目に留まっていない作品は
「ありません」。
ならば目に留まらせる努力をします。
今回はそう言うやつです。
カクヨムにある作品を先に、
カクヨムの外にあるやつを後から
紹介します。
やっぱりね、ここはカクヨムだしね。
あと、ぶっちゃけ三国志以外の
カクヨム中国史小説って
割と簡単に網羅できかねない
勢いではありますが、
ここでは敢えて
五胡十六国及び南北朝に搾ります。
何故ならぼくは五胡十六国にしか
興味がないたぐいの変態だから。
カクヨム作品
通俗續三國志(通俗続三国志)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884106768
河東竹緒さん。まぁ俺の作品知っててこれご存じない、なんてことはまず無いでしょう、と言うレベルなのかな、とは思いますが。
三国志演義の続編を狙って書かれた物語と言うことで、登場人物が思いっ切り晋末五胡初です。割と河東さんのツッコミが容赦なくて素敵(河東さんの立場は飽くまで原作の翻訳)。
正直これ初めて見かけたとき爆笑しました。「ガチすぎやん!」って。やり過ぎ、いいことです。
通俗續三國志 II ─通俗續後三國志前編─β
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884740663
河東竹緒さん。八王の乱~晋滅亡までという事で、なんだよ「漢を襲う」と被んのってこっからじゃん! ってヒャッハーしてます。それにしても、いくら翻訳とは言えこの膨大な情報量には頭が下がります。まーいつまでも自分なんて勉強不足なんですし、ここはもう学びまくるが吉なのです。
中華ノ幼帝、現代ニ転生ス 幼帝再臨 完全版
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881253115
コミナトケイさん。二つ目にしていきなり飛び道具的w 作品です。つーか主人公が劉準って! どんなチョイスやねん! とツッコミに物凄く忙しいです。ちなみに劉準は劉裕の子孫。つーか劉宋のラストエンペラー。史実では「帝位を引き渡した後は殺される役」でした。いや物語でも殺された後ですけど。
ぶっ飛んだ奇想ながら、物語読むと、やっぱり歴史をきっちり踏まえた、ちょっとした思考実験的な感じになっています。付録でつくコラムも興味深いです。と言うか俺がズバッと切り捨てた劉宋について辿ってくださっててありがたい。南斉梁陳も、きっと踏み込んでしまえば面白いんでしょうけどねー。
突厥碑文抄訳(稿)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054883812863
犬單于 𐰃𐱃 𐰖𐰉𐰍𐰆さん。まー普通に唐代なんですけどねこれ。とは言えこの作品、「北方騎馬民族から見た中国人」と言う、希有な視点を提供してくれているのです。割と五胡十六国時代の鮮卑匈奴も似た感覚だったんじゃないかしら。つーか後漢ころの匈奴なんて、正しくこんな感じで骨抜きにされた印象ありますし。
唐の人間は鮮卑じゃないかって? 細かいこと言うなって!
嶺南神犬伝
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881004786
異聞南北朝 逢魔ヶ刻
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880906055
ははそ しげきさん。割と関連性の高い二編なので一緒に。簫衍ですよ陳覇先ですよ宇宙大将軍ですよ! どーすんのこれ! 盛り上がんねえ方が嘘だろ、ってゆう。以前陳覇先については「最強の武将皇帝(笑)」って思ってたんですが、事跡を追ってみると、割と劉裕よりも逆境度高いんですよねーこの人。今で言う香港周りのエリア、言い換えれば当時に於けるド級ド田舎出身というのもヤバい。劉裕、それでも首都近くに住んでましたからね-。
そして宇宙大将軍が小説になってんデスヨ先輩。マジかよって感じ。「この辺のことはよくわかんないけど宇宙大将軍って名前のDQNっぷりなら知ってる」と言われることの多い侯景。そりゃーもう主人公ですよねー、と言う。
最期の秋
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884844582
ああだこうださん。以前崔浩先生が人物伝でちらりと触れた、先生の人物紹介のひな形を作成された方でもあります。この度、カクヨムで小説執筆を開始されました。この時代の各人物の内、鮮烈な最期を迎えた人物のオムニバス、とのことです。現在は石勒皇后劉氏のエピソードに続き、まさかの北宮純! マジか!
自分の理解が薄いとこばっかついてくださっているので、非常にありがたいです。
狂雄乱舞 ー蘇峻之乱顛末記ー
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884905641
ああだこうださん。蘇峻の乱。蘇峻の乱って庾亮がどうこうって話でもありますが、どのみち似たような乱は発生したんじゃないかなぁって思うんですよね。と言うのも東晋系名族の方針はどう考えても不満怨嗟を溜めるものだったと思うから。ここから先が楽しみです。
張華の部屋
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884964697
ああだこうださん。人物掘り。今のところ張良。今日ちょうど龍帥の翼読んでたのでどタイムリーでした。
〈短編集〉長い3世紀のルポルタージュ
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885983517
久志木 梓さん。守備範囲が呉エリアでいらっしゃるのかな、と油断してたらまさかの慕容部黎明期。やられた。確かな筆致で描き出される、近くて遠き隣人としての慕容部。存外あたたかな朔方の風を受けて、あぁ、慕容部エエわ、と思うのでした。
プロ作品
田中芳樹氏作品群(Wikipediaより)
宛城の少女(450年 - 453年) - 東晋
徽音殿の井戸(450年 - 453年) - 南朝・宋-建康
奔流(506年 - 507年) - 南朝・梁
長江落日賦(548年 - 552年) - 南朝・梁
蕭家の兄弟(548年 - 552年) - 南朝・梁
匹夫の勇(548年 - 604年) - 南朝・陳-并州
蘭陵王 - 北斉
真っ先にこの方を上げないわけにはゆくまいね。自分が五胡十六国時代に嵌るきっかけを用意してくださった方です。ただ、ご覧のとおり南北朝に偏っているのが痛し痒し。まーしゃーないね。
中国美人伝/陳舜臣氏
https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E7%BE%8E%E4%BA%BA%E4%BC%9D-%E9%99%B3-%E8%88%9C%E8%87%A3/dp/4103347090
羊献容の物語が載っている、と聞いていて、まだ手が出せていません。ぐぬぬ面白そう。
洛陽の姉妹/安西 篤子氏
https://www.amazon.co.jp/%E6%B4%9B%E9%99%BD%E3%81%AE%E5%A7%89%E5%A6%B9-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%AE%89%E8%A5%BF-%E7%AF%A4%E5%AD%90/dp/406273382X/ref=sr_1_5?s=books&ie=UTF8&qid=1512967530&sr=1-5&keywords=%E5%AE%89%E8%A5%BF%E7%AF%A4%E5%AD%90
そしてこっちは賈南風。未読なので手に取ってみたいところではあります。
王道の樹/小前亮氏
https://www.amazon.co.jp/%E7%8E%8B%E9%81%93%E3%81%AE%E6%A8%B9-%E5%B0%8F%E5%89%8D%E4%BA%AE/dp/4396633084
まーこれが、今気軽に手に入れられる「五胡十六国小説物語」のトップでしょう。文庫本一冊分、しかもテーマが苻堅と王猛。気軽に勧められるイントロとしても素晴らしい。
実はまだ読んでないんですが、小前氏の李世民とか皇帝列伝とかは読んでて、あっこの方の筆致なら面白そう、とは思ってます。何故読んでないかって、kindle 化されてないから。本屋さんに殺されても仕方ないとは思いますが、紙の本、マジで面倒くさくて……つうか本棚たわんじゃってますし、これ以上物理本増やせないんですよ。まあ余談すぎ。
劉裕/小前 亮氏
https://www.amazon.co.jp/dp/406511814X/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_S1OuBb2B370Y1
劉裕の小説がついに来ました。これを紹介しないわけには参りますまい。
ただし、俺はこの小説について語る言葉を持たないです。なぜならば俺も劉裕の物語を書いているから。
劉裕 江南の英雄、宋の武帝/吉川 忠夫氏
https://www.amazon.co.jp/dp/4122016711/ref=cm_sw_r_tw_awdo_c_x_ZKXuBb9EANPS8
そういやこれ紹介してませんでした。小前氏の小説が登場するまで、この本が唯一の「劉裕専門書」でした。ちなみに小前劉裕、この本(と、師匠である田中芳樹氏による劉裕についての記述)を盛大にリスペクトしています。
柳絮/井上祐美子氏
https://www.amazon.co.jp/%E6%9F%B3%E7%B5%AE-%E4%B8%AD%E5%85%AC%E6%96%87%E5%BA%AB-%E4%BA%95%E4%B8%8A-%E7%A5%90%E7%BE%8E%E5%AD%90/dp/4122035503
謝安と劉裕を繋ぐ物語、と言う下品な表現もできます。主人公の謝道蘊は謝玄の姉。王羲之の息子、つまり当代を代表する名族こと琅邪王氏の青瓢箪に嫁いでは旦那のゴミっぷりに「〇ねよこのクズカス」とばかりに dis りまくった烈女のお話です。
東晋名族の風流っぷりを笑いつつ、その結果孫恩にボテコかされてやーいバーカバーカと笑ったその後に孫恩ブッ殺の立役者たる劉裕がやがて大いなる晋朝にトドメを刺すとか、割と「その時、歴史が動いた」レベルの話を第三者視点で描いた作品とも言えそうです。
王朝晦冥なり/相木 鍾三氏
https://www.amazon.co.jp/%E7%8E%8B%E6%9C%9D%E6%99%A6%E5%86%A5%E3%81%AA%E3%82%8A-%E7%9B%B8%E6%9C%A8-%E9%8D%BE%E4%B8%89/dp/4344971957
プロじゃないですけど、自費出版されてる気概は素晴らしいですよね。劉宋の立ち上げから滅亡までを追われているということで、いつか読んでみたいと思っています。
邊荒傳説/黄易氏・黄玉郎氏・葉明發氏
http://www.hongkongmanga.com/page111.html
ちうごく語で邦訳はないので読めてないです。つーかちうごく語分かるようになると一気に裾野が広がるんだろうなあ。今んとこその気概は持ててないんですが。単行本が29巻まで出てて、ここにはまだ見ぬフロンティアが横たわっているようにも思うのですがねえええええ。なにぶん異言語ハードルが高すぎて。
つうか原作が載ってるサイト、どれもこれも海賊版臭くてやばい。なので日本の古本屋さんにリンクを。
外部サイト
なろう/独孤皇后物語~隋の皇帝を操った美女
https://ncode.syosetu.com/n7551ep/
結城さん。隋って、言ってみれば南北朝のエピローグ、大唐帝国のプロローグです。とはいえ楊堅と、その皇后である独孤伽羅は、やっぱり一代の英傑。隋唐演義のプロローグともいえるこの物語、ぜひ。
pixiv/小川茂樹さん
https://www.pixiv.net/member.php?id=2623906
軍事に関して一家言をお持ちで、更にこの絵の上手さとかどんなチートスペックでらっしゃるのか、と言う。漫画も素晴らしいですし、絵についてる短編小説もヤバいです。
この方が慕容沖について描かれていたから慕容沖に興味持ちましたし、この方が史書の言い回しをキープされたまま台詞回しをなされていらっしゃるのを拝見して自分の慕容沖チャレンジ、劉淵チャレンジは始まっています。
五胡十六国を追う上でこの方の作品を目にしてないのは勿体ないんじゃないかなー、とまで思ってます。
pixiv/森野数江さん
https://www.pixiv.net/member_illust.php?id=12772883
陳郡謝氏を中心に萌え倒していらっしゃる方。考察とかも物凄く深いいっぽうで桓温の現代パロとか「どうしてそうなった……」的な破天荒アイディアも飛び出してくる、おもちゃ箱を拝見しているかのような気分になるアカウントさんです。
pixiv/華亭の鶴さん
https://www.pixiv.net/member.php?id=17418976
この方々のメインフィールドは飽くまで同人誌でいらっしゃるので、ピクシブで見れるのはどうしても限られた情報になってしまうのです。イベントにもし行けるようなことがあったら旧本新本一気に買い揃えたいですよね。禿髪樹機能まんがが面白すぎる。
雷の鞭/崩れさん
https://docs.google.com/document/d/1acsE3T9276WtGi5Pdqe0ujdBXRL6v4zdt447UX-xq4E/mobilebasic
五胡十六国時代でいちばん有名な人物と言えば、ある意味では赫連勃勃でしょう。そのぼつぼっつぁんを主人公に据えてくる剛毅。しかし気付けばガンガン西征してモンゴル帝国並みの版図を手に入れてしまった。ツッコミが面白さに追い付かない、困った小説です。
ノマド革命論/なにのにさん
http://noninoni.zohosites.com/%E6%BC%AB%E7%94%BB.html
苻堅と王猛。マジか。漫画はライトなタッチながら、取り扱うテーマはヤバいくらいへヴィ。いいのかこれw いや苻堅好きとしちゃ大喜びですけどw 第一話で出てきた姚萇さんがええんやでぇ……第二話でいきなりハブられましたがw
苻堅と王猛って、食材として素敵なんですよね。自分も興味津々ではあるんですが、多分「崔浩先生」の解説記事で終了だろうなぁw
自分の知る範囲ではこんなところかな。
もっとたくさんの物語とも出会っていきたいですが、
そのためにも、自分が書かないとですね。
ではでは。
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