概要
梁武帝の死後、太子を帝に立てた侯景は、相国となり宇宙大将軍をかねた。
宇宙とは天地古今、いいかえれば空間と時間のことで、前代未聞の肩書といっていい。「おれは、やるからには森羅万象、宇宙に存在するすべてのものを支配したい」。侯景の真面目はここにある。しかし侯景に残された時間はわずかでしかない。
13歳の少年が大のおとなと弓で決闘し、相手を射殺した。まぐれではない。「おれは狼のように獰猛で、人に恐れられる悪漢になりたい」
少年のころ侯景には、狼への化身願望があった。
目 次
一、朔北の狼 二、伝令高歓 三、北鎮の乱 四、河陰の変
五、白袍将軍 六、北魏分裂 七、東魏と西魏 八、嶺南の聖母
九、侯景の乱 十、南北統一
13歳の少年が大のおとなと弓で決闘し、相手を射殺した。まぐれではない。「おれは狼のように獰猛で、人に恐れられる悪漢になりたい」
少年のころ侯景には、狼への化身願望があった。
目 次
一、朔北の狼 二、伝令高歓 三、北鎮の乱 四、河陰の変
五、白袍将軍 六、北魏分裂 七、東魏と西魏 八、嶺南の聖母
九、侯景の乱 十、南北統一
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!宇宙(大将軍)やべえ
ぶっちゃけ「呂布です」って言いたくなるよねこのひと。
あっいや、わかってます。歴史物語のコメントで一番やっちゃいけないのは、他の時代での比定だと思ってます。しかも侯景と呂布とでは、梟雄となったライフタイムもまるで違う。それでもなお、その武の故に翻弄され、無道を働き、滅んだ姿には、どこか両者を重ねずにおれない。
漢が滅んでより、隋が天下を統一するまでには、実に四度の鼎立が起こっています。曹操、劉備、孫権。劉曜、石勒、王導。慕容儁、苻堅、桓温。そして、高歓、宇文泰、蕭衍。これら天下に己の身命をベットして丁々発止のやり取りを繰り広げた英雄らと引き比べれば、侯景は嫌でも一段落ちる存在となら…続きを読む - ★★★ Excellent!!!実在した怪物──隋唐帝国成立前史に黒々と輝く悪漢の生涯
夜明け前が一番暗いとはよく言われますが、中国史における南北朝末期もそれに近いものがあります。
鮮卑拓跋部が拓いた北魏が華北を統一するも、孝文帝の漢化政策と洛陽遷都の煽りを受けて階層格差が極大化するとともに固定化し、辺境防備軍が賎民として扱われ、あまつさえ流刑の地にされるまでに至ります。
稀代の英主とされる孝文帝は王朝に時限爆弾を仕掛けてしまった感があります。
時とともに蓄積していく不満は解かれることなく、ついに六鎮の乱に形して北魏を東西に割り、山東山西を押さえる東魏と関中河東に拠る西魏の抗争を通じて次代の芽が育まれていきます。
それが隋唐世界帝国になると考えてもあながち誤りではなく、…続きを読む