我如何にして五胡十六国史を勧めん哉

ところで五胡十六国、どんなルートだと

楽しく学べそうでしょうかね。

この点についての思考実験を

行ってみようと思います。


 なおネット限定。一般書だったら山川の世界史で世界史の中の位置付け確認して、宮崎市定「隋唐帝国」で乱暴なあらすじ確認して、三崎良章「五胡十六国時代」に行くか川勝義男「魏晋南北朝」に行きましょう。羅宗真「分裂の時代」は、上記を読んだ上でのビジュアルイメージ想定に役立ちます。そっから先はレッツ☆専門書!(無駄に嬉しそう)



前段:面白い作品に出会おうぜ


 はい。

 ……はい。


あるにはあります。

けど、あなたの目に留まっていますか?

ここがあれば全て解決します。

が、なかなか出てこないのが現状。


ここはここで別には語りたいんですが。

今は、飽くまで情報から萌えて下さい、

としか言えんのです。


なので。


 

初手:Wikipedia読め。


実はこれがバカにならない。


つーか少なくとも人物伝レベルなら、

最近の Wikipedia ヤバいです。

ひと昔前の人間なら信じられないくらい、

ものすげー参考になります。


何せ大概が史書の抄訳です。

いろんな人物見て回りましたし、

原文とも引き比べましたが、

かなりガッツリ引用して下さってます。


まずは Wikipedia より始めよ。

これ意外とツボ外してないです。


ただし、ここで注意点があります。

「崔浩先生」が初段でピックアップした

レベルの人物の Wikipedia 記事は、

割と地雷です。


と言うのも、当時のトップレベルの

名声を博した人物は、

原文の記事がひたすら長い。

そしてウィキペディアンは素晴らしいので、

長さがもたらす情報量を、

全力で再現しようとされてます。


正直俺トップクラス人物の Wikipedia 記事、

ろくに読んでないです。

すっげー細かいんだもん。

そこをあえて踏みこむというのであれば、

はじめの概略、及び後ろについてくる

逸話のみを読む方向がお薦め。

この二点読むだけで、萌えソースとしては

結構機能します。


逆に、主要人物に関わる

その他の人物のページには

ガンガン飛びましょう。

だいたいの場合、

主要人物の概略+逸話くらいの分量です。

長いと感じたら、主要人物と同じく

詳細は切り捨てで。

変に頑張って一人の人物を追うよりは

大まかな輪郭を拾った後の方が、

記事に対する理解も深まろうってもんです。



2:翼を広げましょう。


はい Wikipedia は満喫できましたか?

いくつかの項目でうっかり

別の時代に飛んじゃって

戻って来れなかったりは

ありませんでしたか?

唐以降の時代に残ってる

史料の量が半端なくて

泣きそうになったりしてませんか?

俺は泣いた。

なんなんこの時代の一次史料の少なさ。


さて、Wikipedia に乗ってる情報を

整理するだけでも、かなり勉強になります。

これだけでも萌えソースが沢山なので、

こっからもう妄想をスタートするのが

良いでしょう。


そして妄想を始めたあなたに朗報です、

先ほど Wikipedia の情報は

「抄訳」と書きました。

そう、原典に当たると、

更にソースが増えるのです!(デーン)

そして思いがけない人物との

関連性が見つかったりするので

鼻血が垂れるのです!(デデーン)

しかし原典は漢文です。(はい解散)


ただ、原典日本語訳に携わってる方、

いないではありません。

自分が知っているところでは、

このお三方がインデックス的にオヌヌメ。


詩解

http://www.geocities.jp/takemanma/index.html

詩人を中心に

晋書宋書列伝の翻訳をされています。

ただしメジャー人物は

割と翻訳されてるので、

はじめの内は知りたい人物に

困らないでしょう。


訳文が漢文寄りなのがちょっとキツいかな。

隣に Wikipedia を置きながら

読み進めれば良いかと思います。



五胡十六国の歴史を語るブログ

http://blog.livedoor.jp/masudazigo-2nd/

初めて飛んだときビビりましたよね。

なんですかこのブログの紹介人物数。

しかも晋書宋書だけでなく、

結構手広い史料から人物を

拾い上げられています。


詩解さんに較べると日本語は易しめ。

とは言っても案外漢文の

お約束な表現はキープされてます。

その意味では原文の雰囲気を楽しみつつ、

けど原文のハードル高すぎて死ぬって

方向きです。


因みに俺、このブログが好きすぎて、

ついついインデックス作っちゃいました。

http://xn--ntso0iqx3a.tokyo/ryu/z/5_16.html

ブログ内検索もいいけどさぁ、こう、

見出しが並んでることによる

あれこれがさあ!


まぁ変態の妄言です。かしこ。



そしてもうお一方。

渡辺省のホームページ

http://www2.ktarn.or.jp/~habuku/index.htm

資治通鑑本末、

つまり大体が人物史の集まりである

史書原典を一旦解体、

時系列で並べたやつ(資治通鑑)を、

出来事別にピックアップしたやつ(本末)

の日本語訳。


日本語度は

詩解と五胡十六国の歴史を語るブログの

中間、若干後者寄りって感じでしょうか。

何が強いって、出来事を人物に縛られずに

読めるのは大きいです。



人物インデックスとしては、他にも

「枕流亭」

http://ww1.enjoy.ne.jp/~nagaichi/

「魏晋南北朝」

http://www.geocities.jp/historyscholajp/

も凄いです。


沢山の人物に関する短評がずらり。

一人を掘り下げるのも、

多くの人間をぱっと並んで見られるのも、

どちらもおいしいよね、って思います。


えっ何、ここまででも

まだ物足りなくなった?

仕方ないなぁ……(ぬたり)



3:おいでませ漢文沼


はい、ここまでこの記事で

引きずり込むことができたら、

俺興奮のあまり死ぬよねたぶん。

と言うわけで、当たろうぜ原典!

昔と違って全文電子データで落ちてるし!

アタマワルイ!


晋書 https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%99%89%E6%9B%B8

宋書 https://zh.wikisource.org/wiki/%E5%AE%8B%E6%9B%B8

資治通鑑 https://zh.wikisource.org/wiki/%E8%B3%87%E6%B2%BB%E9%80%9A%E9%91%91


いわゆる基本です。

ただし俺この基本全然読めてません。

だって漢文なんだもん。

楽しいですけど、やっぱり読んでて

MP がごりごり削られる感は否めないです。


読み方のお薦めとしては、

やはり Wikipedia が便利。

上でも書いた通り抄訳になっていますので、

だいたいは晋書宋書に書いてあることが

乗ってます。


つまりそこを手掛かりに

ひと文字ひと文字を解釈していける、

と言うわけ。


そうして引き比べると、

ウィキペディアンとの解釈の違いとかも

見出せるはず。

ウィキペディアンだって人の子ですしねー、

どうしても「完全に合ってる」を

期待するのはお門違い、と言うもの。


そしてここでも注意点。

上奏文、詔勅文の類は、

はじめは捨てて構いません。と言うのも、

ほぼ「漢文の形をした何か」です。

地の文とは全く違った素養を求められます。


掘り下げることで

更に理解や妄想が深まるのですが、

そこに至るためには前史や、

儒教の基本経典を修める

(一切の注釈無しで前史や経典からの

 引用キメまくってくるんです)

必要があり、

ぶっちゃけこの段階に辿り着くまでとは

比べものにならないレベルの

勉強が必要になります。


そして今俺はこの凄まじく高い壁を

見上げています。

さて、どう登ったもんか。



4:ネットには結構論文が落ちててやばい


論文ってねー。

図書館でしか読めないと思ってたんですよ。

けど今、結構ネットにも落ちてます。

ここのディープさは最高なんですが、

ここまでは正直お勧めしません。


というのも、この辺を

いきなり紹介すんのって

格ゲー初心者をガチ勢のいる

対戦台に放り込むようなもんだから。


一応、紹介しておきましょうか。

例えば、こんな感じ。

https://ci.nii.ac.jp/d/search?advanced=false&count=20&sortorder=1&q=%E4%BA%94%E8%83%A1%E5%8D%81%E5%85%AD%E5%9B%BD&range=0


「ガチ勢がどんな感じでガチってるのか

 覗いてみたい!」ってくらい、

この時代にハマったら、

初めて覗きこんでみられるのが

良いよう思います。





と言うわけで前段にも書きましたが、

現在五胡十六国については

妄想という名の実弾が全く足りてないです。

つまりネタがブルーオーシャンです。


あなた萌え語りが、

次のひとの萌えソースになるのです。

こんな状況、萌えるしかないですよね?


あれっ変換間違えた? まあいいや。

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