概要
三國志演義につづけ!と明代に書かれた二番煎じの二次創作『新刻續編三國志』、江戸時代に中村昂然が読み下した三番煎じを好事家のために超訳した四番煎じです。
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あまりに長いので章分けしてあらすじをつけました。ちなみに、原書の巻分けは無視しています。一致していたら、たぶん偶然です。
一章 三国時代終わる
晋による統一まで。呉の滅亡を描いた後、時代を戻して蜀漢滅亡時に離散する遺臣たちに焦点を移します。
二章 流浪する遺臣たち
蜀漢遺臣たちの流浪の旅を描き、その間に晋は武帝司馬炎が崩じて恵帝司馬衷が登極、高貴郷公を殺害した賈充の娘、賈后が存在感を増していきます。
三章 集結
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!魏呉蜀を統一した晋の転げ落ちる坂道。でも、腐っても鯛、なんですね。
三国志が余りに面白いので、そこで満足して後の時代には無関心。かどうかは別にして、本場中国でも後日談が書かれたのは五百年も後の明時代。
本作品は河東さんの手による超訳本です。まさに「本」で読みたい作品。スマホだと、目がショボショボする。
河東竹緒さんの名前は、歴史ジャンルの作品中心に寄せられたレビュー投稿者の中に見掛けてました。
レビュー内容から「博識な人だなぁ」とは思っていたけど、実際に読むのは初めて。まぁ、こんな作品を書くのだから、博識な筈だわ、と唸ってしまう。
河東さんの趣味は漢文を読み漁る事、なんですって。
内容に関しては、私のレビューより、直前のカクヨム公式レビューを参照して下さい。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!史料的価値の高さならカクヨム一!
三国志を初めて読んだ際にこのように思ったことがある人も多いだろう。
「え、蜀負けるの?」
そう、蜀は負けるのである。っていうか三国全部滅びて晋とかいう知らない国ができるのである。そういや世界史の授業ではちょっと寝てる隙に、いつのまにか隋とか唐が台頭してたな……。
史実に即したお話なんだからそこに文句を言ってもしょうがないのだが、それでも不満を言いたくなるのが人の性。
そこで「せっかくの物語なんだからもうちょっと楽しい結末になってもいいじゃん」と思ったとある作者が明代に書いた「三国志後伝」を現代語に超訳したのが本作品である。
劉禅が魏に降伏してついに蜀は滅んだ。だが、その遺臣たちは漢王…続きを読む - ★★★ Excellent!!!明代の中国人も、江戸時代の日本人も、三国志ロスだったに違いない
そもそも『通俗続三国志』とは何なのか。三国志とどういう関係にあるのか。
ビギナー向けにイチから整理しますと、まず三国志の方は
①後漢末~三国時代(2~3世紀)に実際にあった出来事をもとにして、
②西晋時代(3世紀末)に陳寿が歴史書『三国志』を編纂、
③宋代(5世紀前半)に裴松之が注を付けて様々な逸話を追加、
その後、講談になったり、その記録台本が『三国志平話』として出版されたり、舞台化されたりしてパンパンに膨らんだところで、
④明代(14世紀頃)に羅漢中(?)が歴史小説『三国志演義』を成立させ大ヒット。
で、この『三国志演義』人気にあやかって、
⑤明代、酉陽野史という人が三国志の後の時代す…続きを読む - ★★★ Excellent!!!『三國志演義』の正統な後継たる幻の本が今、初めて現代日本語訳にて見参!
まず初めに、大事なこと。
『通俗續三國志』全体を俯瞰する現代語訳はまだない。
ゆえにこの作品は小説であると同時に研究的価値がある。
幻の本だった1冊が、ここに姿を現そうとしているのだ。
では、レビューをば。
その前に、平伏して白状します。
『三國志演義』、実は詳しくありません。
魏晋南北朝時代、あんまりわかってません。
今回『通俗續三國志』を拝読したのを機に
西晋から東晋にかけて勉強し直しました。
まず「劉淵って異民族じゃなかった?」という疑問から。
その記憶は正確で、彼は匈奴の単于(首長)であって、
漢族ではなく、無論、蜀漢のヒーロー劉備の孫でもない。
が、劉淵は漢の皇室劉氏との縁を…続きを読む - ★★★ Excellent!!!最も正統性の高い三国志演義続編の初の現代語訳
三国志演義には、その系統にある文学史に名を連ねている続編や二次創作がいくつかあります。『反三国志』もそうですし、翻訳された『後三國演義(後三国石珠演義)』もそうです。しかし、最も完成度が高い正統な続編はそのどちらでもありません。それは、この通俗続三国志の元となった『三国志後伝』です。
『反三国志』はただのパロディ小説で、歴史IF小説の先駆に過ぎません。『後三國演義』は歴史に名を借りた神魔小説で、『封神演義』の足下にも及びません。
しかし、『三国志後伝』は違います。三国志平話の最終話の『劉備の外孫が匈奴に逃れ漢を再興する』という設定を借り、『三国志演義』とは矛盾がないように、その筋に沿って丁寧…続きを読む - ★★★ Excellent!!!劉淵が主役だと!?
正直通俗続三国志の、あの「三国志の英雄の子孫が大活躍!」的ノリが苦手で仕方なかったんですが、一方ではどこかで読んでみたくもあったんです。まさかそれがカクヨムで実現するとは……世の中ってわからんもんです。
歴史的正しさを引き合いに出したら笑うしかないレベルではあるんですが、開き直って「どう言うロジックの元に配されたのか」みたいのを考えるのが楽しかったです。
あ、面白いかどうか、は語れません。先にも書いたとおり歴史人物の扱いがアクロバティックすぎる作品なので、どうしても歴クラとしてはそっちに翻弄されてしまいます。
ともあれ、この大作を丁寧にご紹介頂けた時点で☆3は不可避、なのです。ありがと…続きを読む