第4話 ボクっ娘がいても違和感のない世界


 RAYの一人称は「ボク」。いわゆるボクっキャラ。

 実は、時々訊かれることがある。


「RAYさんは男ですか? それとも女ですか?」


 そんなとき、ボクはこう答える。


「ご想像にお任せします。ここでは性別はあまり意味をもたないので」


 確かに「ボク」という一人称は一義的には男子が使うもの。

 でも、最近のアニメやラノベでは、自分のことをボクと呼ぶ女子が普通に登場する。「ボクっ娘が市民権を得ている」と言っても過言ではない。


 ボクの性別を確認したかった人には、二通りの方がいるのかもしれない。

 一つは、ボクっ娘の存在を知らないため、女のくせにボクと言っていることに違和感を持たれた方。

 もう一つは、ボクっ娘の存在は知っているものの、文章や言動を見て純粋に疑問を抱いた方。


 確かに、ボクの小説では、男も女も主人公になっていて、それぞれが一人称視点になっている。でも、小説に男と女が登場するのは一般的なことであって、作者が自分と異なる性のキャラになりきることは珍しいことではない。女性でも医療や政治をテーマにした重い話を書く人もいる。


 そう考えると、訊いてきたのは、ボクっ娘を知らない前者なのかもしれない。


 ただ、そんな混乱が生じていることを、ボクは内心うれしく思っている。

 なぜか? それは、もともとボクっ娘キャラを演じている理由の一つが「中性的な雰囲気を出したい」と思っているから。男なのか女なのか疑問に思われるのは、中性的であることのあらわれ。


 もちろん、リアルでは自分のことを「ボク」なんて呼んではいない。とりあえず常識ある社会人なので、一人称は「わたくし」か「わたし」。


 カミングアウトすると、アニメ好きのボクは、もともと「ボクっ娘キャラになってみたい」という願望があった。

 ただ、現実世界でコスプレする勇気はなかったし、置かれているのが「ボク」を使える環境でもなかった。社会人になる前なら何とかなったかもしれないけれど……。


 と言うことで、性別や年齢がほとんど意味をなさない世界であれば、ボクっ娘がいたって違和感はないと思ったわけ――どう? 違和感ないでしょ?


「RAYは男か女か?」


 そこは相変わらず謎のままだけれど、ミステリアスな雰囲気が漂うのは悪くないから明言は避けることにする。


 伝えたかったのは、カクヨムには、書くと読む以外に「こんな楽しみ方もある」ということ。



 RAY

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