第1話 何もしないと読まれないよ


 ボクがカクヨムにやってきたのは、二年前の五月。

 小説サイトに自分の作品を公開するのも初めてで、「本格的に小説の勉強がしたい」といった気持ちと「小説を通じて交遊を広げたい」といった気持が半々。それと、「自分の作品が認められるかどうか知りたい」といった思いが見え隠れ。


 最初に公開したのは「ドクターの夢 Old Boy Meets Girl 」という、医療をテーマにしたヒューマンドラマ。初めて書いた長編作品。

 それほど読まれるとは思っていなかったけれど、公開後、あまりにも酷い状況にショックを隠し切れなかった。


 評価(★★★)はおろか、読んでくれる方がほとんどいなかったから。

 全話公開したら状況が変わるかと思いきや、途中からPVがゼロになり全話アップしてしばらく経っても伸びる気配はナッシング。


 ネットでカクヨムについて検索すると、書き手に比べて読み手が少ないとのこと。

 そうは言いながら、ランキングで紹介されている人気作品には★の数が三ケタ・四ケタのものや一話のPVが千を超えているものもあり、ボクの作品に問題があるとしか思えなかった。


 日々大量の作品が公開されていることを考えれば、放っておいたらボクの作品は埋もれていくだけで事態が好転するとは思えなかった。まさに追い詰められたような気分。

 何をすればいいか必死に考えて、とりあえず、次のようなことをやってみることにした。


①知っている方(信頼できる方)に声を掛けて読んでもらうようお願いする。

②長編より短編が読まれやすいかと思い、短編(掌編)中心に公開していく。

③積極的に他の方の作品を読んで、共感できた方に頭を下げて、自分の作品を読んでもらうようお願いする、


 企業で言えば、自社の商品を売るための営業行為。しかも、飛び込み営業に近いもので、あまり褒められたものではない。実際、某人気作家さんからボクの行為を非難するような発言があった。彼の言うことはある意味正論。


 でも、カクヨム設立から半年後の参戦ということで出遅れ感は否めず、ボクのような知名度も何もない素人が待ちの姿勢で臨んでも事態は何も変わらない。


 結果として、今まで付き合いのあった方と新たにお友だちになった方が何人か作品に目を通してくれた。

 さらに、三千字以内の掌編が思いのほか評判が良く、ランキングに載ることができ、作品が陽の目を見ることができた。もう少し言えば、ボクもカクヨムに融け込むことができた。


 不躾ぶしつけなお願いを聞いていただいた方とは、今も親しくお付き合いをさせていただいているけれど、はっきり言って、足を向けて寝られない。今のボクがあるのは、一にも二にもそんなみんなのおかげ。心から感謝している。


 失礼かと思いながら、そのときから、あまり読まれていないような作品に目を通すようになった。

 良作が埋もれてしまうのは残念なことだし、何より「がんばっている人を応援したい」といった気持ちが湧きあがった。


 もし作品が読まれなくて悩んでいる方がいたら、恥や外聞を捨てて、自分ができることを精一杯やってみることをお勧めしたい。

 カクヨムでは、某大手小説サイトで幅を利かせている方の作品やツイッターなどで話題に上った作品を除いて、いきなり読まれることはないから。

 だからと言って、ゼロからスタートした、素人同然のボクでも陽の目を見ることができたのは事実。


 「努力は裏切らない」という言葉はその通りだと思う。

 努力した人がすべて報いられるわけではないけれど、報いられた人の多くは努力をしているんじゃないかな。



 RAY

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