第18話 江戸の適齢期、早っ!
またならず者に絡まれるといけないからと、お梅ちゃんを八百屋まで送ることにした。
み、美咲、う、浮気じゃないからな!ちゃんと正当な理由だからな!
「源左衛門さんの甥御さんでしたね。お姉ちゃんがお世話になってます。」
「おまつさん、人の話を聞かないから困ってるんですよ。今日も野菜だけでなく、料理を持参した方がいいのじゃないかって、アドバ……助言したらむくれてしまって。」
そう言うと、お梅ちゃんはプッと吹き出してしまった。
「お姉ちゃん、料理が下手なんです。ご飯も時々焦げ過ぎたり、生煮えだったり。だから、うちではあたしが料理担当なんです。」
そうだったのか、僕はおまつさんの地雷を踏んでしまったわけか。
「お姉ちゃんには幸せになって欲しいです。もう19歳だから行き遅れになるのが心配で。」
え?19歳で行き遅れ?確か、この時代は数えだから実質17歳?え?おまつさんって僕とタメ??
「え?19歳で行き遅れなの??」
「はい、お姉ちゃん、縁談があっても直前で壊れることが多くて。今思うと好きな人がいるから、わざと壊してたのでしょうけど。」
……いや、わざとじゃなくても、あれは壊れるだろうって、妹の前では言えない。
「え、と。お嫁に行くのっていくつくらいが当たり前なの?僕の故郷は少なくとも25歳過ぎくらいかな。」
「まあ、ずいぶん遅いのですね。こちらでは女は16歳から二十歳までに行かないと笑われるわ。」
時代劇やら歴史の教科書とかで知っていたつもりだったが、本当に結婚適齢期は早かったのだな。
って、ことはお梅ちゃんもそろそろ適齢期なのか。ちょっとがっかりだ、なんて言ったら美咲からジャーマンスープレックスをかけられる。
「お姉ちゃんが嫁いでくれないと、私も行き遅れになっちゃうのに。でも、おっかさんが亡くなってからはおっかさん代わりに育ててくれたから、あまり強く言えなくて。」
しかし、当の片思い相手があれじゃなあ。
「あ、この話はお姉ちゃんには内緒にしてくださいね。」
「う、うん、わかった。」
この時代ってまだ上から順番に嫁ぐという風潮なのか。ふう、江戸時代でも恋というのは一筋縄ではいかないようだ。
※江戸時代の結婚適齢期は本文にあるように現代よりはるかに早く、遅くとも二十歳くらいまでに嫁に出されました。
これは先ほどにも書いた平均寿命の短さを考えたら当然なのかもしれません。大奥でも「お褥御免」という“夜の相手”定年制度があり、30歳になると将軍が気に入っていても夜の相手を辞退するものでした。
…これって現代の女性にとってはいろいろとエグい話ですね。
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