第25話 江戸の大女?
そのまま、夜が明けるまで抱き着いてしくしくと泣いていたおまつさんだったが、おじさんの「迷惑だからいい加減にしなさいっ!」の一喝が効いたようで、ようやく布団に戻った。
本当にタミフルの副作用なのか?どさくさ紛れに告白したのではないかと、僕でもさすがに疑問に思う。
とはいえ、薬が効いてきたのは確かで熱は大分下がってきた。
「これで一安心かな。ああ、喉が乾いた。」
おまつさんのホールドから解放された源左衛門さんはやれやれと肩を回し、沸かしている鉄瓶からお湯を湯飲みに注いで飲み始めた。
「油断しちゃだめです。この薬は熱が下がっても体にウィルス……病気の元が残っているからと、きっちり飲みきるように指導されています。」
「薬って、あとどのくらいだ?」
「5日分ですからあと4日飲ませないと。」
「勘弁してくれ、また泣きつかれるのか。」
「源左衛門さん、そろそろ年貢の納め時なんじゃないですか?」
「ぶふぉっ!!」
源左衛門さんが飲みかけてた白湯を盛大に吹いた。
「いい人じゃないですか、おまつさん。ちょっと怖いけど、毎日差し入れするし、縁談も断ってるみたいだし、一途じゃないですか。」
「おおおお、お前に、ななななな、何がわかるっ!こここここ、こんな大女っ!」
「そりゃ、この時代だと僕と同じくらいの身長だからデカい女に入るのでしょうけど、現代から見たら普通ですよ。」
ちなみに僕は165センチだ。……だから運動苦手で帰宅部なんだが。
「お武家やら、大店の老舗の跡取りというならともかく、町人なんだからしがらみないでしょ?あ、でも八百屋の問題があるか。」
「それならば私が婿をとりますから大丈夫ですっ!」
「「お梅ちゃん?!」」
突然の乱入に僕達はびっくりしたが、よく考えれば朝だから起きていて当然か。
「お姉ちゃん、ずっとおっかさん代わりに私の面倒を見て、八百屋も手伝って、自分の幸せを犠牲にしてきたんです。八百屋ならば私がお婿さんを取れば解決します!」
お梅ちゃん、やっぱりいい子だ。
「ななななな、なんだよ、ふふふふ、二人して、そそそそそ、外堀固めやがって!」
源左衛門さんは噛みまくっている上に、湯飲みを持つ手が震えまくって白湯がこぼれまくっている。端から見ているとちょっと面白い。
「これ、お梅。病人が寝ているのだよ。静かにしなさい。」
「ごめんなさい、おっとさん。」
おじさんの掛け声で一旦は静かになり、この話題はお預けとなった。
しかしなあ、江戸の街は独身男性ばかりと以前聞いてたから、チャンスじゃないのかな?と僕は思うのだ。それに直感とはいえ、タイムパラドックスの問題もあるから、とにかく女性とくっついてもらわないと。
※江戸時代の人達の体格は現代人より小さかったことは、遺跡から発掘された骨から判明しています。
それによると、平均して男性は155センチ前後、女性は145センチ前後とされています。
おまつさんは現代人の佑真と同じくらいの165センチと言う訳ですから、江戸時代では大女という訳です。ちなみに体重に関してははっきりしていません。体重を測る人がいなかったためほとんど記録にないそうです。
…作者もこの時代に生まれていたら、体重なんて気にしなくて済んだのだろうか。
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